我が道を行く、王道神話
@reia000
第1話
〜序章〜
「誰も知らない神話の始まり」
そこは神々が住まう次元の彼方通称「天界」にある一室
そこには二柱の神がいました。
片方は漆黒の髪を持つ男神、もう片方は太陽の様に煌めいて見える金髪を持つ女神、何方も整った容姿をしており、傍目からでも神とわかる雰囲気を醸し出していました。
男神は虚空に映し出された数字を見つめ何やら作業をしており、女神はそんな男神の様子を傍目に優雅にお茶を飲んでいました。
そんな穏やかな時が流れる一室に突然何かを思いついた女神が声を上げました。
「そうだ、神話を作ろう!」
作業をしていた男神は怪訝な表情を浮かべながら女神に向け「突然何を言い出すんだお前は」と言い視線を向けました。
男神の言葉に待ってましたと言わんばかりに得意げな顔をしながら、女神は男神を指差し「君の神話を作るんだよ」と言放ちました。
男神は増々わけが分からんと首を傾げ先を促します。
そんな男神に向かって女神は言葉を続けます。
「だって君の神話は僕以外、誰も知らないじゃないか」
男神はその言葉を否定しようとすると女神は更に言葉を募ります。
「言わなくていいよ、どうせ君のことだ誰も知らないわけじゃないと言いたいんだろう。確かに君の神話や逸話は人々も知っているよ、何せ君の話は数え切れない位あるからね。1つや2つ知っている人がいても不思議じゃないむしろ、知っている人が居なければおかしい程だ。でもその伝わっている内容が君の話として伝わっていないんじゃそれは伝わっていないのと同じだと思うんだ」
そう言うと喋り疲れたのかお茶に口を付け女神は少し悲しそうな顔をしながら「それはとても寂しい事だよ」と続けます。
男神はそんな女神に困ったような顔をしながら
「確かに俺の神話を俺のものだと認識しているものは居ないが、別に俺のものだと認識していなくてもその信仰は俺の糧になっているから問題ない」
男神の言葉に女神はそうじゃないと頬を膨らせて怒りを表しました。
「確かに君の言う通り信仰は貰えるけど僕が言いたいのはそうじゃないんだ。それじゃあ君の凄さが伝わらないって言ってるの」
男神はそのどこに問題があるのか女神に問うと
「問題大有りだよ!」と声を荒らげました。
「いいかい君は僕たち十柱の大神を束ねる主神なわけ、なのに君の凄さがいまいち伝わってないのは大問題だよ。何せ人間達の中ではまだ僕が主神なんてことになってるんだからね!そのせいで僕の仕事が増えてるんだ、これは由々しき事態だよ」
という女神の主張を聞いて男神はため息を吐き
「なんだそんなことか、対して仕事してないんだからそれ位やれよ」
と男神は呆れを含んだ声で返すと
「嫌だね、僕は毎日こうやってのんびりお茶しながら偶に思いつた事をしながら過ごしたいんだ」
そんな駄女神の言い分に馬鹿馬鹿しいとばかりに首を振り「勝手にしろ」と言い再び作業に戻るのでした。
「よし、許可は出たということで早速作っていきますかな。う~ん、そうだな〜やっぱり神話と言っても昔話だからね、なら定番のあの言葉から始めないとね」
こうして誰も知らない神話が作られるのでした。
我が道を行く、王道神話 @reia000
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