プロローグ 後編

 ❰二○XX年 一月二十八日 午前三時五十二分❱

 東京二十三区内全域及び、都心郊外「霊妖町れいようちょう」にて観測史上最大の邪気じゃき瘴気しょうき発生量を確認。神宮寺家及び、柊家にて極秘調査が行われた。原因は未だ特定できず。




 ❰二○XX年 二月十四日 午後九時五分

 霊妖町に厄災ディザスター級の妖魔が三体出現。神宮寺礼子じんぐうじれいこにより即時鎮圧化された。厄災ディザスター級の妖魔が発生するのは三十年ぶりのことで、しかも複数体出現することは、極めて異例である。憶測の域を出ないが、妖魔発生の要因は意図的に仕組まれた可能性がある。




 ❰二○XX年 三月二十日 午後五時二十七分❱

 妖魔が爆発的な勢いで増加。霊妖町全域を覆い尽くす。階級は一般ノーマル級~厄災ディザスター級で、その数八百体以上である。神宮寺じんぐうじ家、恐神おそがみ家、神楽坂かぐらざか家、ひいらぎ家によって殲滅作戦が行われる。事態は鎮静化したものの、短期間に妖魔が大量発生するという点、邪気・瘴気量の大幅増加という点を考慮して四家合同による「国家非常事態宣言」が発令される。霊妖町を渦巻く未曾有の災害発生危機に備え、神宮寺礼子を派遣。以後霊妖町に定住し、警備体制の強化に努める。




 ❰二○XX年 三月二十五日 午前四時五十六分❱

 霊妖町定点妖気観測機器に異常値が検出される。一瞬の間にが莫大に増加した。原因は目下調査中。




 ❰二○XX年 四月一日 午前二時三十六分❱

 事態が急転した。柊家守備部隊の隠密機動兵士三名が何者かによって殺害される。暗殺者は捕獲直後、毒物摂取による自殺。襲撃の全容は明らかになっておらず、早急な事件の解明が求められる。




 ❰二○XX年度霊妖町危機調査報告書より一部抜粋❱

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