魔法の世界にいたはずの俺はぬいぐるみになる

矢斗刃

魔法の世界にいたはずの俺はぬいぐるみになる

どこだ俺は誰だっけ?そう俺はぬいぐるみだった。


ぬ、ぬいぐるみだとぉぉぉー。


なんだ前世の記憶がない。

たしか魔法だとか、そんなものが普通にある世界で俺は生活していたはず。


「ななみー。」と抱き上げる女の子。

「わーい、わーい。」と掲げたりしている。


そんな毎日が続いた。

その間に魔法が多少使えるようになる。

俺は天才ぬいぐるみぃーになったかもしれない。


「えーん、えーん。」と今日は泣いている。

一体どうしたんだろうかと心配する。


「もうお父さんの転勤が急に決まって引っ越すんでしょ。早く準備しなさい。」

「びえーん、友達と別れたくないよぉー。うぇーん。」


わかる。わかるぞ。

俺もたぶん向こうの世界で友達がいたはず。たぶん。

俺と言う友達がいるのだ元気を出して欲しいものだ。


「ほら行くわよ。」

そう言って荷物をまとめ終わったのだろう。


女の子を引っ張ってトラックに乗っている。


「あれ?これ?俺忘れられてるぅー。」と驚愕のぬいぐるみ。



俺は追うことを決意した。

今見失うと一生あの子に逢えない気がしたからだ!


〝行くぜ、俺!〟

喋れないけど風魔法でドアにぶち当たる。

あれっ?詰んだぁー。


まぁ冗談だ。

開錠の魔法でドアを開け。

施錠で締めるそして空を飛んでいた。


空飛ぶぬいぐるみはなんとかトラックを見つけ着地した。


「ふぅ。」一息を付いた。


トンネルや大きな海と言う、風の強い場所で飛ばされそうになりながら、俺達は田舎にやって来ていた。


そして・・・


「ななみぃー。」

地面を叩きながら泣き叫ぶ娘っ子。


俺はそんな娘っ子にダイブして、横に落ちる。

ぬいぐるみに気付いて抱き締めて、喜び泣く娘っ子。


魔力の使いすぎか・・・薄れ行くその夢から覚めるのだった。




「ほら起きろ、ホームルームを始めるぞ。」


そんな声が聞こえる。

俺はぼんやりとする意識で、先生の声を聞いた。


「転校性を紹介するぞ!」


そこにいたのはあの娘っ子だった。


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魔法の世界にいたはずの俺はぬいぐるみになる 矢斗刃 @ini84dco5lob

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