ぬいぐるみに似た男

単三水

ぬいぐるみに似た男

私はぬいぐるみというものが嫌いである。理由はよく分からない。多分、人形は硬いのにぬいぐるみは柔らかいからとか、少し傷が入るとそこから綿が出てくるからとか、そういうことなんだろう。ただ、この男はぬいぐるみと同じような特徴を持っているのに、私は何故か気に入っていた。男の名前は新田 大輝。私の名前は昨津 雄来。新田は私の組織、【カトリケー】に侵入したは良いがそこで私に見つかり、そのまま抵抗虚しく捕まってしまった。私は新田の腕を掴み、そのまま握り潰した。握りつぶした場所は肉が凝縮され、骨がそのままの勢いで折れる。ぼたりと腕が落ちた。

「………ッ、…」

やはり柔らかい。正確に言うと今の私の握力が強すぎるせいでもあるのだが、この男は他の人とは違う魅力を持っている。それがこの男を直ぐに処分させず、私を拷問紛いの行為に駆り立てさせるものなのだ。新田が持っている情報はもう全て入手済みではあるのだが、それを敢えて伝えず続ける。耐えるだけ無駄な足掻きというものだ。

「……」

何をしても何も喋らない。少し強情なところもあるがそこも好きである。正直言って、私はこの男に劣情すらも抱いていた。タイプ、というものだろうか。こんな体験は初めてだ。腹をマチェットで裂いてみた。

「ゥグぁ…」

腸を取り出して揉んでみる。背徳感による興奮、高揚感、支配欲。新田は意識が朦朧としてきたらしく反応が薄くなってきたが、腸を揉む度に痙攣する。可愛いなぁ。このまま本当のぬいぐるみのように死体を部屋に置いていても良いかもしれない。腐臭とかがすごいと思うけど、処理等をすれば大丈夫だろう。

「…ぼくは…僕は…」

お、流石に辛くなったのだろうか。何か自白する気になったかな?

「…僕は何をされても、何も話さないからな!!!」

もう絶望しきっている目の割に、言っていることは勇ましい。ギャップにクラクラしそうになった。

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