バーチャルヌイアイドル☆うみ
龍神雲
1話目 プロローグ~バーチャルヌイアイドルうみの爆弾発言~
暗い室内に少女が一人。目の前にはパソコン。少女は深呼吸一つでヘッドセッドを被り、ライブ配信を開始する。
「はーい!こんにちは♪バーチャルヌイアイドルのうみです♪」
すると画面にゴスロリ服を着た、ピンクのうさぎのぬいぐるみを抱えるバーチャルアイドル姿の少女が映し出された。うさぎと同じくピンク色の髪に瞳、色白の顔、ほっそりとしながらも胸がある体型のアバターだ。
「今日もうみのライブに来てくれてどうもありがとう♪すっごく嬉しい!でも今日は、うみにとっても、みんなにとっても大事で、悲しいお知らせがあります」
瞬間、画面のテロップに怒涛の勢いで文字が流れだす。
『アイドルやめるの!?』
『うみたんは永久期間!悲しいお知らせは嘘で新イベ告知に決まってんだろ!』
『もしやうみ氏……結婚されるとか!?』
『うみ氏はアイドルヌイやぞ?孤高のアイドルうみ氏は我々との交流第一主義!結婚なぞない!』
画面一面、ファン同士による論争であっという間に埋めつくされていく。
「みんな落ち着いて~!あとうみのこと、大事に思ってるの伝わって、すごく嬉しい!どうもありがとう!あのね、実はうみ、あと三日後に死ぬの」
『は……?うみタソが死ぬ!?』
『え?どゆこと?誰か解釈!』
『死ぬというのはこのバーチャルワールドから解脱して、リアルワールドに出家するということデツカ?』
『それかアバター消すってこと?』
『うみ氏生きて!』
『待って。うみ氏いないとモレ生きてけない……』
『うみたんは毎日配信してたから疲れたんだよ。それなら長い休暇とろ!つ【休暇】』
先程激論してた状況から一変、今度はお通夜の如く静まり返る。そんな中、うみは口にした。
「そうだよね。突然、三日後に死ぬとか言われても訳分かんないよね。ごめんね?実は私、バーチャルからも、リアルからも、消えることになってるの。でも今までみたいにみんなと楽しく最期の日もライブしたくて。こんな話したら、炎上しちゃうかな……」
うみが言うよりも先に、この情報はSNSに画像や動画で既に拡散され、ライブ配信の閲覧数も爆上がりした。その間、画面上では様々な意見が流れていたが、うみはその空気を一変させ明るく言った。
「信じられない話かもしれないけど、今日も元気に配信してくよ☆では早速!昨日の配信で募集した質問について回答するね♪」
『三日後にうみがネットからもリアルからも消える』という爆弾発言があったせいか画面では論争が勃発し、誹謗中傷、質問等が飛び交う通常のライブ配信とは異なる光景となった。そして通常通りの時間にライブ配信が終わるも、コメントもSNSも大炎上で翌日ニュースや新聞で取り上げられ、この日、更に奇妙なことが起き発覚した──
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