第209話 100万人突破記念配信 ヤマトの企画編



『【親衛隊005656】様ありがとうございました。これで終了ですね』



つ、強すぎる……

上位ランカーに匹敵するんじゃ……

本当に無課金勢か?

無課金だったらヤマトの運強すぎる



13時から始まった視聴者参加型【Vtuber育成学園】バトルは計12名と対戦した。

それぞれ使用パーティーにプレイヤーの色が出ており、ごろろっく推しの人はパーティー全員ごろろっくで構成、親衛隊の人はパーティーには必ず神無月ヤマトが編成されていた。


色々なパーティーがあったため、後半の方はドラゴン様軸の【水着コンボ】パーティーではなく、神無月ヤマト軸の【エンジェルビート】パーティーを使った。


パーティー編成は、


【先鋒 《白馬の天使》 白馬リオン X6】

【次鋒 《清楚系ベビー》 熊猫くまねこパンダ X+1】

【中堅 《空の子王》 翼竜つばさ X+2】

【副将 《乙女のお姉さま》 九条院はるか X8】

【大将 《新米Vtuber》 神無月ヤマト XX-2】


という風になっている。


このライバーは全員天使属性というものを持っており、その中でもはるか様は天使属性のステータスをアップさせるスキルを持っているため、かなり強い。

ヤマトに関しては天使属性に対するデバフ無効のスキルを持っているため、このパーティーはトップ層でも使われている方である。


その中でもキーになってくるライバーが熊猫パンダ様。



熊猫パンダ様


ごろろっくスクール卒一期生

リオン様と同期で見た目、身長ともに幼稚園生。

頭には白黒の耳がついておりパンダがモチーフとなっている。

とても純粋な子なため、事務所の方で下ネタ大好きVtuberとロリコンVtuberとの数人コラボはNGになっている。

現在のチャンネル登録者数は56万人



このパンダ様はスキルで《変態属性》と《ロリコン属性》を持つライバーのスキルを中確率で無効にするため、かなり強いライバーになっている。


今回の箱バトルでもそのスキルが役立ち、勝てた試合が多かった。


視聴者参加型箱バトルの結果は10勝1敗1分けとかなり勝ちまくった。

誰かと楽しく箱バトルをすることなんて殆どなかったから、今日の箱バトルはとても楽しかった。


これなら今後も定期的に箱バトルを開催してもいいかもしれない。


『さて、もうすぐ14時になります。僕は少し準備があるので、少々お待ちください』


***


配信を待機画面に変更し、パソコンだけを持って移動する。


僕が向かった場所は新しくできた新スタジオ。

次の配信はその中の隅っこにある防音室の中で行われる。


「お待たせ~」

「まだ時間あるから大丈夫。それよりもパソコンをそこにある机に置いといて。あとは私がやるから少し休んで」

「……分かった。それじゃあちょっと休むね」


今日は10時からほとんどぶっ続けで配信をしていたため、少し疲れていた。

来夢が気を利かせてくれたおかげで、ほんの少しだけ休むことができる。


配信も残り2時間のみ。

時間が経つのはとても速い。

そのうちの1時間は僕も体を動かして体力がいる。

今は何も考えずに目を瞑ることにした。


来夢の準備はほんの数分で完了した。


「ちゃんと休めた?」

「うん。少し溜まった疲れが取れた感じかな」

「ならよかった。もうすぐ時間だから準備して」

「はーい」


新スタジオの中には水を冷やす機械も常備されており、その中からペットボトルを一本取り防音室の中に入る。


中はクーラーがしっかり聞いていて熱くない。


椅子に座り僕は配信を再開する。


***


『皆様、お待たせしました。次は皆様お楽しみにされていたと思います。ヤマトの企画に入りたいと思います』



待ってました!

詳しい内容は教えてくれなかったからな!

何が来る?

ゲスト居るんですか?



コメント欄はいい感じに盛り上がっている。


『では、ヤマトの企画についての詳しい内容を発表します。今回の企画は……』


企画を言おうとした途中、画面が【ザザッ】という音とともに少し乱れた。


『今回の……企画は……………………』



どうした?

画面が乱れてます!

あれ? 映像が止まるんじゃ……

しっ! それは言わない!



最後に言おうとしたときには完全に映像が乱れてしまい、僕の声は【ザザッ】という音とともにかき消されていき、最終的に画面は真っ暗に消えてしまった。


2秒、3秒と時間が過ぎ次に映像が付いたとき、一見そこは何もない配信画面だった。


『あれ? 少し映像に乱れがありましたが、皆様大丈夫だったでしょうか?』



大丈夫!

何もなかったよ!

いまのはなんだったんだー

戻ってよかったー



『映像が乱れてどうなることかと……。何事もなくてよかったです!』


安堵するもつかぬ間、一瞬でコメント欄に書き込みが増えていった。



あ、左上見て、左上!

え、……あ!

あー、そういうことね。

ヤマト! 左上見て!」



『どうなさいましたか? ……左上見ろ?』


画面の上に映されているのは本日の日付と今の時間だけ。

だがそこには一つの違和感があった。


現在は9月。

なのにそこの時計は8月25日になっていた。


『時間が巻き戻ってる? ……ということは!』


急いで8月25日現在のチャンネル登録者数を出す。


【98万8569】

これが8月現在のチャンネル登録者数になっていた。


『……100万人突破してません! そして100万人突破まであと1万と……2000人!』



と、言うことは?

これはもしや……

なるほどねぇ

ずるっ!?

何が来るかな?



ご主人様たちは既に今回の企画の内容に気づきつつある。

今回の企画を考えた時に一番最初に思い浮かんだのは、僕ができなかった配信。


既に過ぎたことだったが、ぜひ一度はやってみたいと思っていた。

だからこの企画でやりたいと考えた時、考え抜いた結果「時間戻せばよくね?」という案が出て、今回はそれを実行した。


これなら僕の差し加減一つで時間内に終了することができる。

2時間ほぼぶっ通しで歌い続けることになるが、歌うのは好きなのでそこまで苦ではない


今僕はワクワクが止まらない!


『では皆様、これより100万人突破耐久歌枠配信を行います!』



歌って次ライブだろ!?

2時間ぶっ通しで歌うの?

かなりハードだな……

あれ? 過去なのに俺らのコメントが配信画面に映ってる?



『では皆様、今回の歌枠はご主人様がたのリクエストを受けたいと思います。現在のコメントは過去にいる僕も見ることができるので、コメント欄にぜひ書いてください!』


今回、過去に飛んだが今のコメント欄は過去に来ている僕の配信画面に映るようになっている。

そうしたのはリクエストを受け付けるため。ただそれだけだ。


リクエストを受け付けた瞬間コメント欄にリクエスト曲が書かれていく。

あまりの速さに、いちいち止めながら確認していかないといけない。


流石に知らない曲は歌えないので、今回は音源を持っており、知っている曲の中でもリクエストが多い曲を歌うことにした。

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