第82話 2度目の凸待ち配信 #Fin

ママさん!

キュアママ!

みんなのママ!

ついにヤマトのママにもなりに来たか!



真魔キュア


ガーデンランド所属の1期生で悪魔の女の子。

赤と白の髪が特徴的で、頭にはヤギみたいな角が生えている。


年齢は確か1000歳を超えていて、みんなのママになるために人間界に来た。


最初はみんなのママになれるように配信していたけど、時がたつにつれ本性が現れ始め子供っぽい性格で配信するようになった。

それでもなお、みんなのママになるために魔界から来たと豪語している。


因みにそのせいもあって、もともとは常識組だったけど非常識組に再振り分けされた過去がある。


あぁ、どうしよう!

真魔キュア様がくるって思ってなかったから立ち絵用意してない!


と、とりあえず名前書いておこ。

あ、あと挨拶!


「真魔キュア様、初めまして。神無月ヤマトというものです」

『あなたのことは知ってるわ! 最近有名な新人さん。あなたの配信全部見たけどなかなか面白かったわよ!』

「そう言ってもらえると嬉しいです。それでなんですけど——」

『あ、ちょっと待ってくれる? もう一人いるから!』

「だ、大丈夫ですよ」


もう一人?


わざわざ凸しに来るってことはこの配信を知っているはず。

ということは同業者だと思うけど、ガーデンランドの方かな。


『ほら、挨拶しないと』

『キュ、キュアちゃん! ちょっとまって! 心の準備が、まだ……』

『ヤマトちゃんと話したかったんでしょ! しっかりしないと、ヤマトちゃんに迷惑よ!』

『そ、そうだよね! うん!』


向こうの方で話がまとまったみたいだけど、いったい誰なんだろう。


声は聴いたことあるからVtuber関連の人だとは思うけど、ガーデンランドに当てはまる人がいないんだよね。


さて、誰なんだろう。


『は、初めまして! わ、私……』

『こら、挨拶はいつも通りしないと! ヤマトちゃんに覚えられないかもしれないわよ』

『う、うん。……か、風知る、波知る、大地知る! 我を知らぬものはもはやに、人間のみ! では知らしめよう、我の名を! 悪魔侯爵、デビリット魔怜まれんとは我のこと! こ、コンデビルー!』


……どこかで聞いたことある声だと思ったらそういうことね。


デビリット魔怜


挨拶に合った通り、人間以外には知らない人はいない魔界の悪魔侯爵。

ピンク髪の女の子でおでこあたりに小さい角が生えている。

胸が大きい。


人間界には悪魔侯爵である自分を知らない人たちと友達になるために訪れている。


今の挨拶はコラボや凸したときに使うあいさつでいつもは『コンデビル』で通している。


真魔キュア様とは保育園からの時からの幼馴染で、Vtuberとしてのデビュー時期もほとんど一緒。

今は一緒に同棲生活をしていると、お互いの配信で聞いたことがある。


因みに、魔怜さまも企業に所属しているけど、所属事務所はガーデンランドではない。

魔怜さまの所属事務所はガーデンランドと同じ二大巨頭の一つ、『ごろろっく』。


ごろろっく様に関してはたまにしか配信を見ないけど、切り抜きではよく見るので、名前を聞いてすぐに真魔キュア様とのオフコラボを思い出した。


デビューして初めてのごろろっく様との関わり。

この縁は大切にしていかないと……!



ごろろっくまで来た!

真魔キュア=デビリット魔怜!

この感じ、もしかしてだけど魔怜も……

なんかお笑い芸人みたいな名前



「は、初めましてデビリット魔怜さま。神無月ヤマトです。以後お見知りおきを」

『はい! デビリット魔怜です! ヤマト様親衛隊000777です。以後、魔怜とお呼びください!』

「親衛隊なんですね。応援ありがとうございます。因みに777は僕の受験番号なので縁がありますね」

『そうなんですか!? あぁ、感無量です』 

『わっとと! 魔怜、あまり暴れないで!』

『あ、ごめんね、キュアちゃん』


魔怜さまの立ち絵も用意していないので、キュア様と同じように名前を打ち込んでおく。


「時間的にもお二人で最後になりそうですね。実は僕、初対面で僕のことを知っている人に絶対にする質問があるんですけど、聞いたもよろしいでしょうか?」

『あれよね。いいわよ』

『私もです!』

「では、お二人にとって僕は男の子ですか? 女の子ですか?」

『娘!』

『女の子です!』


2人とも同じ答えぇ?

魔怜さまの答えは聞き取れたけど、キュア様とは何て言った?


僕の聞き間違いじゃなければ『娘』って聞こえたんだけど。


「えーっと、魔怜さまの声は聞こえたんですけど、キュア様の声は聞こえなかったのでもう一度いいですか?」

『娘』


うん、聞き間違いじゃなかった。

まさか娘って思われていたなんて、ちょっと新鮮だけど、凄い違和感。



流石ママ

全然ぶれない。

親衛隊で女の子って何気に初めてじゃね?

てか『ごろろっく』にも親衛隊隊員がいたんだ



「僕はキュア様の娘じゃありませんよ!」

『違うわよ、ヤマトちゃん。世界中の人間は私の子供になることが決まってるの。これは決定事項で覆らないわ!』

「これに関してはどこまで行っても平行線な気がしますので、あとにしましょう」

『ええ、私の方はヤマトちゃんに「まま」って呼ばせる算段があるもの。気にしないでいいわよ』


算段ってなに?

普通に気を抜けないんだけど!


「ではお二人とも、『ヤマトに言ってほしいセリフ』は何かありますか?」

『私は『ママ、大好き』だけでいいよ!』

『わ、私は『侯爵様に心臓はささげた覚悟です』で、お願いします!』


分かってはいたけどキュア様はそう来るよね。

魔怜さまは……多分アニメとか好きなのかな?


「ではキュア様から行かせていただきます。『僕ね、ママのことだぁい好き!』」

『はぅ! 私のヤマトちゃん! 可愛すぎ!』

「僕はキュア様のものではありません。みんなの執事です」

『けちぃ~』



よく言った!

流石はみんなのヤマト!

ヤマト様を独り占めにさせない!

ヤマト様はみんなのものだ!



「では次に魔怜さま行かせていただきます。『魔怜侯爵、僕の心臓はあなた様に捧げています。僕はあなたの盾であり矛です。あなたのことは僕が守る!』」


父さまが似たキャラをしてくれていたおかげでどんな感じか頭に浮かんで、すぐにアドリブが思いついた。


魔怜さまの反応は……。


『サイコー……!?』

「好評で何よりです。では次に『ヤマトに物申したいこと』は何かありますか?」

『私は後でいいわよ。魔怜、お先にどうぞ』

『ありがとう! じゃあ私からは一つ。今度コラボしてください!』

「え、いいですけど……」

『ありがとうございます!』

「あ、はい」


というか、それって物申したいことじゃなくてコラボのお誘いのような気がするけど……。

まぁ本人が喜んでるしいいかな。


『次は私ね。ヤマトちゃん。今後私のことは『ママ』か『キュアママ』以外で呼ぶのは禁止! 様付もダメよ!』

「それは物申したいことじゃないんじゃ……」

『魔怜のもそうじゃない!』

「うっ!」


あんなに喜んでもらったのにそれ以外って言うのもなんだか申し訳ない。


これは諦めるしかなさそう。


「分かりましたキュアママでいいですか?」

『それでいいわよ!』


今日初めて話す2人に物申したいことを聞いてもあんまりないよね。

これは知り合い以外来ないと思っていた僕のミス。


切り替えよ!


「では次に『もしも、ヤマトと1日入れ替われるとしたら何がしたい?』ですか?」

『公園で遊ぶかな。私の年齢に見た目だと公園で遊ぶのはおかしいから!』

「僕、これでも15歳でこともじゃないですよ!」

『ママの私からしたら子供だよ!』

「……確かに」


ママじゃないけど。


『私は1日中ヤマト様の体で動きたいです』

「というと?」

『ヤマト様の体を動かしてヤマト様を感じていたいです』

「……なるほど」


え、魔怜さまって少し変な人なのかな?



分かる!!

ヤマト様の手足とかを感じたい!

思考は無理でも体のサイズを知ることはできる!

ヤマト様の技術を体感したい!



あ、魔怜さまがおかしいんじゃなくて、これが親衛隊の人たちにとっては普通なんだ。


「つ、次に行きます!『配信やオフでやってほしいこと』はありますか?」

『私からいい?』

「どうぞ!」

『オフの時に小さい子たちに私のことを広めてほしい!』

「却下で」

『え~』


そう言えばキュアママは最近ロリショタの疑惑が上がり始めてるんだった。


この付近で子供って言うと、保育園の子たち。


小さい子たちに、この変人を教えるのは危険!

よって却下。


「魔怜さま、何かありますか?」

『すみません。思いつきません!』

「大丈夫ですよ。気にしないでください」


魔怜さまには申し訳ないけど、もうすぐ時間が過ぎそうだし、最後まで行くには時間を短縮したかったから、何もないのは助かる。


「では最後に『お風呂で体を洗う時何処から洗いますか(頭意外)』キュアママからお願いします!」

『私は足から。因みにヤマトちゃんは体から洗ってあげるわよ!』

「結構です!」


何言ってんのこの人!

いや、もうわかってきた。


この人にとって僕は本当に娘なんだ。


「では次に魔怜さまお願いします!」

『え、えーっと……』

「どうかしましたか?」

『その……』

『ああ、魔怜は体洗うとき、おしりから洗うわよ』

『ちょっ! キュアちゃん!?』

「……」



えっろ!

尻派にはたまらんわ~!

男子サイテー!

ヤマトショートしちゃってんじゃん!



最後の最後で大きいのが来た。

最初の凛音さんから、みんな普通な感じで問題ないかと思っていたけど、やっぱり今後はきちんと考えた方がいいかも。


「というわけで、最後のお二人は真魔キュア様とデビリット魔怜さまでした! お二人とも、今日はありがとうございます!」

『ヤマトちゃんも50万人突破おめでとね~。魔怜は気絶しているけど50万人おめでとうだって』

「あ、あはは、ありがとうございます」

『ヤマトちゃん、またね』


そう言ってキュアママは通話を抜けていった。


それと同時に60分経過。


時間ぎりぎりで最後の凸を終えることができた。


「ではお時間も来ましたので、今日はここまでにしたいと思います。今日は僕の50万人突破記念配信に来てくれてありがとうございます。凛音さま、ギャイ先生、ラノ様、ライムさま、キュアママ、魔怜さま。凸していただきありがとうございます! では」

『本日は僕と楽しい時間を過ごしていただきありがとうございます。行ってらっしゃいませ、ご主人様。またお会いできる日を楽しみにしております』



行ってきます!

また来るよ!

ヤマト様サイコー!

また来るねー!


***


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