第17話 コラボ配信 #1

***


『ご主人様、お帰りなさいませ。あなたの神無月ヤマトとです。本日も僕の配信に来てくださりありがとうございます』



ただいま!

待ってたぞー!

私のヤマト様ー

僕のヤマトちゃんだ!

違う! 俺のだよ!



まさかの開始早々からの言い争い。

早く止めないと!



喧嘩はやめるんだ!

みんなのヤマトよ!

ヤマトのために争わないで!



あ、そういう流れか。

初配信の時もあったな~。


覚えておこう。


『それでは告知していた通りまずは重大発表からして、そのあとにたまっている質問をある程度消費していきたいと思います』



重大発表気になる

もしかしてあれか?

あれかな?

あれしかないな?



ご主人様たちは「あれあれ」言っているけど本当に分かってるのかな?

一応来夢に頼んでスパチャの設定は切ってもらっているけど……。


『それじゃあ発表します。収益化が通りました!』



やっぱりか!

おめでとう!

スパチャはまだ?

早く俺に貢がせさせてくれ!



『あー、待ってください。すぐに設定をオンにしますので。えーっと、確かこれだったよね。ポチっとな』


設定をオンにするとすぐにスパチャが飛び始める。



Rinne

ヤマト様の初めては私がもらいます!

¥50,000


ヤマト様親衛隊長

ヤマト姫は僕が守ります!

¥50,000


いちろー(ヤマトの実兄)

ヤマト! お兄ちゃんからのお小遣いだぞ!

¥50,000


ヤマト様親衛隊000010

ヤマト様の「ポチっとな」最高‼

¥50,000


ヤマト様親衛隊000159

我々はヤマト様のためならこのお金、惜しくもありません!

¥50,000


ヤマト様親衛隊005458

なぜ5万円が上限なのだ!

¥50,000



なぜか普通のスパチャが飛んでこない。

『りんえ』さんを筆頭に僕の親衛隊を名乗る人たちが変なコメントを書きながらスパチャを投げてくる。


その中にはなぜか兄さんも混ざっていた。



『親衛隊? の皆様、スパチャをありがとうございます。そして兄さま、スパチャをお小遣い私に使わないでください。カナママに言いつけますよ。あとりんえさんもスパチャありがとうございます。見ていただき僕はとても感激です』



イケボだ

イケボで落としにかかってる

いつもの声なのにイケボに聞こえるのはなぜなんだ?

しれっと兄がいて草

てかヤマトマジか!

ヤマト、その呼び方は……いや、やめておこう

やめとけ! 今が最高に面白いんだから!


名もなきご主人様

少しおバカなヤマトもまたいい!

¥10,000


名もなき国王

今日の日収です。収めてください

¥30,000



『呼び方? まぁいいとしますか。今もまだスパチャが飛んでいますからね。ある程度落ち着いたら質問に答える時間にしましょうか』



花村カナ

いちろー君。明日行くからね~。

あ、ヤマトちゃん。頑張ってね~。

¥50,000


カナママいるじゃん!

カナママだ!



『カナママ、ありがたいんですけど、兄さまに送るメッセージは別の方法でお願いします』



怒られてる!

ヤマトのコメント欄が一瞬だけピンクだった件

俺も見せびらかしたい!

なんかコメントだけでピンク色が見えた。

そうか? 俺には怒りの黒色だったぜ!


ベテラン執事

ヤマトはカナママのコメント何色に見えた?

¥2,000



『カナママのコメントですか? 普通に赤色でしたよ。機嫌は悪くない、というよりも兄さまにストレスをぶつけてる感じですね。だいぶ珍しいです』



ストレスか。

何かあったのかな?



『まぁ、何か大変なことでもあったんじゃないですか? そろそろ親衛隊の皆さんのスパチャが少なくなってきましたので質問に入りましょうか』



ヤマト推し

親衛隊のコメント終わったな!

¥10,000


ヤマトファンクラブ

ようやく俺たちも普通にスパチャを投げられる

¥30,000


Ran

いつも見てます! がんばってください!

¥5,000


Take

中学生なのですが勉強ができません。でもヤマトを見ていると勇気が出ます。これからも応援してます!

¥7,777


Kaede

私は身長が高くて、声が低いのに悩んでいます。ヤマト君は身長や声で悩んだことはありますか?

¥10,000



『あ、なんか質問来ましたね。「かえでさん」ですね。僕は身長や声のことで悩んだことはないですね』



まぁ、ヤマトはね

ヤマトが声に関して悩む姿が想像できん。

そもそもヤマトは女の子だし。

はぁ、ヤマトは男の子です!

Kaedeってどこかで聞いたことが……



『真剣な話なのでコメント欄はいったん放置して』


ひっど!

ヤマト、こんな不良になっちゃって

僕たちは悲しいぞ

ヤマトは僕たちのこと捨てたりしないよね



『かえでさんが声や身長のことで何か言われたのなら、僕のところに来てください。そのたびに僕がかえでさんを慰めますので』



無視www

ヤマト! 俺たちも見捨てないで!

俺たちが悪かった!

もうしません! なので反応してください!



『それに僕は身長が高くて声が低い女性も好きですよ。かっこいい女性ってそれだけでメロメロになるじゃないですか! あと、ご主人様がたのことも大好きですので元気を出してください!』


おお!

信じていたぞヤマト!

ヤマト様に見捨てられたかと思った!


名無しのお嬢様

ヤバい! ヤマト様かっこよすぎる

¥20,000


Kaede

わ、私がそんなので落ちると思ったのか!? でも、ありがとう

¥30,000


本性が出た!

ヤマトの前で本性が出てしまっている草

もしかしてリアルツンデレ?


夢見ゆめみサクラ

カナちゃんに推されてみたけど、1か月でここまで人気だなんてすごい新人ですね。同じVtuberとして私も応援してます。

¥50,000


え⁉

本物⁉

だれ?

知らない



新しく来たスパチャの名前はVtuberを知っている人にとっては驚きの人だった。


『え、本物の夢美さん!? あ、初めまして、神無月ヤマトと申します。本日はお日柄もよく……』


夢見サクラ

大手Vtuber企業ガーデンランドに所属する四期生のVtuber。僕とは天と地ほどの差がある人気者だ。


これ以上の説明は今は割愛しよう。


ただ、僕の配信を見ている人は僕一人しか見てない人が多いため、夢美さんを知らない人が多い。


本当はトリッターで集めた質問をある程度消費しようと思っていたのに、時間は見てみると予定していた30分を超えていた。

なんか時間が過ぎるのが早く感じる。


『ご主人様方、申し訳ありません。時間が無くなってしまったのでトリッターにたまっている質問はまた今度でよろしいでしょうか?』



え?

まだ30分……

なんか早くない?



『あ、勘違いさせてしまい申し訳ございません。次の発表は少し長くなります。僕の配信はまだまだ続きますので安心してください』



あーよかった!

1週間唯一の楽しみが終わるかと思った!

安心安心!

それで、2つ目の発表って何?



『2つ目の発表に参ります! 入ってきていいよ』


僕の声とともに母さんが僕の部屋に入ってきて隣の椅子に座る。



え、誰?

見えない。

何々?

説明求む。



現在母さんの姿はご主人様たちには見えていない。


だから急いで設定しないと。


確か、これをこうして……。あ、僕も小さくした方がいいか。

そして母さんも少し小さくして、これで後はオンにするだけ。


するとどうだろう、小さくなった僕の横に、僕と同じサイズの母さんがしっかりと映っている。



え!?

本物⁉

どういうこと!

リアル撫子!



『はい、ということで、もう一つの重大報告は神無月撫子さんと緊急コラボです! 挨拶お願いします』

「ヤマト、挨拶って言っても私挨拶持ってないんだけど」

『あー、名前を言うだけでいいんじゃないですか?』

「それもそうね。皆さん、初めましての方は初めまして、ヤマトの母親神無月撫子です! ぜひ撫子ママと呼んでください!」



撫子ママ!


撫子ママ推し

今日仕事休んでよかった!

¥50,000


神無月家推し

まさかのツーショット!

¥50,000


名もなき貴族

まだデビューして1週間だよね!

¥10,000


頭が追い付かない! 説明求む!



『コラボのもとの経緯を説明すると、今日たまたまカナママのもとに遊びに言ったらたまたま母さんがいて、買い物途中にコラボしようってことになりました』



ざっくりしてる

なんとなくわかった



「ちなみに、コラボに誘ったのは私ね。ヤマトには私をコラボに誘う勇気はないから」

『母さまに断られたらどうしようって考えが先に来てしまうので』

「時間が空いてればいつでもコラボするわよ」

『母さまが暇な時間ってあるんですか?』

「夜とかはたいてい空いてるわね。まぁ、やるかどうかは私の気分次第だけど」

『あーやっぱりそうですよね』


よし、ここ目では打合せ通り。


問題は次だ。


母さんは大丈夫って言ったけど、僕は心のどこかで少し心配でいっぱいだ。


『それでは、母様の希望もあり今日はこれからゲーム配信をしたいと思います。ゲームのタイトルお願いします』

「任せて! 今日するゲームは『大富豪になって世界旅行』というゲームです」



え、時間大丈夫⁉

そのゲームって早くても一時間以上……

途中終了?

それ3人以上じゃなかった?



『ご主人様がたも言っていますけど、大丈夫なんですか?』

「そうね。せっかくのコラボなんだし今日は2時間にしましょ。それに、もう一人の方は声をかけてあるから安心して」



でた! 撫子ママの無茶ぶり!

撫子ママの無茶ぶりには誰も逆らえない!

動画配信で無茶ぶりするの始めてみる!

リアルタイムで見れるなんて思わなかった!

もう一人とはいったい……⁉



『というわけで皆さま、配信時間を一時間から2時間にしたいのですがよろしいでしょうか?』



いいとも!

撫子ママのわがままなら仕方ない!

全然問題ない!

むしろお願いします!



『はい、というわけで、今日の配信は2時間でお送りします。それでは母さま声をかけていただいたもう一人のお方をお呼びしてもらってもよろしいでしょうか?』

「もう通話しているわよ。名前と一言お願いね」



誰だ誰だ!

飛鷹凛音さん?

カナママの可能性も……

神無月一家勢ぞろいか?



皆いろいろと予想を立てているがだれ一人当っていない。


なんせ彼女は今まで配信をしたことがないのだから。


『皆さん、初めまして、シンガーソングライターをしています。ライムです。以後お見知りおきを』


この日、シンガーソングライターライムは初めて人前に降臨した。


『皆さん、初めまして、シンガーソングライターをしています。ライムです。以後お見知りおきを』



えっ!?

ライム!?

本物!?

初めて声聞いた!

思っていたよりも声低っ!



ライムの登場にコメント欄は大荒れ。

それはそうなる。


人前に初めて降臨したのが、デビューしたての新米Vtuberである僕のチャンネルなんだから。

ライムがMytubeにチャンネルを作れば、100万人なんて1週間もたたずに突破できる。



待て待て待て、ヤマトの声真似の可能性は!

ヤマトとライムは同一人物説浮上!

ヤマト様がそんなことするわけないわよ!

出来れば別人物である証拠を見せてほしい。



やはり僕とライムの存在を疑う人もいる。

まあ無理もないかな。

ここにいるご主人様たちは僕の特技のことを知っているんだから。



『えーっと、やっぱりと言っていいのかわかりませんけど、僕とライム様の関係を疑っている人が出てきましたね』

「まぁ、ヤマトは声真似がうまいからね。その気になればライムの声真似もできるでしょ」

『「はい、声真似するのは簡単ですよ」』

『気持ち悪っ! できれば金輪際私の声真似はしないでください』

『ちょっ、ライム様! ひどくないですか!?』

『知りません』

「あなたたち、仲いいわね。まるでコンビ漫才師みたいよ?」

『違います』『違うわよ!』

「ほら、ハモるなんて息ぴったり」



まじでハモった

じゃあ本物のライムってこと?


ヤマト様親衛隊000259

謎の歌姫『ライム』が人前に降臨なされた!

¥12,000


Kaede

ライム!? あー! 上限いかないようにしてたのにしてたのねっ!

¥10,000


上限行ってて草


ヤマト様親衛隊000025

これは上限に行かないわけがない。

¥50,000


ヤマト・ライム推し

夢のようなコラボ。マジで涙が出てきた

¥12,000



少し母さんのアレンジもあったけど何とか別人物説を否定することができたからよかった。

次は、僕とライムの関係だね。


ベテラン配信者だったら問題ないんだろうけど、僕は新人だ。


何度も言うけど、普通なら新人Vtuberのチャンネルで人気絶頂のライムが降臨することなんてありはしない。


『どうしてライム様がっ! と思いの方もいらっしゃると思いますので、僕が経緯を説明します。ライム様とは母さま経緯でつながりました』

「あーあったわね。確かヤマトがデビューする前に音楽関連に詳しい人を聞いてきたんだったわね」

『僕が知る中で母さまに聞くのが手っ取り早いので』

『私も驚いたわよ。急に撫子さんから頼まれて。それでテストしたんだけど文句なしの合格。せっかくだから新曲を歌わせてみたの。そしたら大成功。ほんと、才能ある人って嫌だわー。勉強できないくせに』

『うるさいですよ。僕よりも頭がいいからって調子に乗らないでください』



ヤマトの頭の悪さは周知の事実!

なんか二人仲良くね?

喧嘩するほど仲がいい。

「りんえw」さん恋のライバル現る。



ここまでは台本通り。

今回の話し合いでライムと僕たちの家族関係は内緒にすると決まった。


理由は簡単。ライムは顔を明かしていないシンガーソングライター。

対して来夢は学校に顔がばれている神無月撫子の娘。


活動するうえで顔はあまり世間にさらしたくないらしい。

声に関しても、配信中は地声で話しているけど、学校ではあまり話をしない子で話すとしてもいつもより高い声で話しているのでバレる心配はない。



「時間も押してるしそろそろ始めましょうか」

『分かりました』

『は~い』



なんかこの3人の立ち位置が分かってきた

俺も

私も

撫子ママ>ヤマト=ライムか?

いや、撫子ママ>ライム>ヤマトじゃない?

ヤマトのチャンネルなのにカースト最下位とか草



コメント欄が何か言っているけどごめんなさい。今は無視します。


「うーん、これを押せばいいのかしら?」


だって母さんが前のめりになっているせいでコメントがうまく見えないもの。


『母さま、設定は僕がしますので動かさないでください』

「はーい」


来夢に言われた通りにいろいろと設定をいじる。


えーっと、これをつなげて、これをONにして。


あ、ゲーム画面が移った。

後はゲームの音を入れて。


コメント欄にはゲーム音が入ったというコメントが多々見えるから多分大丈夫。


音声に関しては問題なし。


「すごいわね。お母さんヤマトが何をしているかわからなかったわよ」

『僕も詳しくは分かりませんよ。でも妹に教えてもらってようやくできました』

「あー、あの子機械には詳しい方だものね」



ヤマトの妹!?

もしかしてライムちゃん?

いやいやないない

でも、神無月一家だぜ。

それにヤマトとも仲が良かった。



コメントを見て、僕と母さんは失敗に気づいてしまう。


思い返してみると今まで妹の話はしたことない、それでいてライムが出てきた今日初めて妹の話をしてしまった。


普通なら疑わないことでも僕ならもしかしたら、と考える視聴者には謎でしかない。


いつもなら出さないボロなのに、家族といるとどうしても気が抜けてしまう。


この流れを乗り切るには……。


『へー、ヤマトさんには妹さんがいるんだ。どんな妹さんなの?』

『え、ああ、普通に可愛い妹ですよ。高校受験の時も僕の勉強を見てくれましたし、映像編集の仕方も教えてくれましたからね』

『そ、そうなんですか』


ダメだ。

これだけだとパンチが弱すぎる。


何か妹とライムの区別をつける話題……。


『じゃあ成績の方はどうなんですか? 例えば音楽とか』


そうだ。

来夢にはこれがあったよ!


『音楽の成績は最低最悪ですよ。ほかの成績に関しては『関心・意欲・態度』の項目は問題ないんですけど、音楽だけは「1」の成績ですからね。ちなみにものすごく音痴で、歌うのが好きなんですけどいつも耳が壊れそうになってしまいます』


説明しているとき、隣の部屋から壁がどんどんとなる。

僕の隣の部屋はライム。


これがどういう意味かはすぐに分かった。


『ごめんなさい。妹に怒られてしまったので話はここまでにします』



なんだ、別人か

流石に、ね。

これでライムまで神無月家だけだったらヤバかった



何とか騙すことはできて安心した。


『それじゃあさっそくゲームをしましょうかって、あれ? なんかもうスタート直前になっているような』

「ああ、ヤマトが話すので忙しそうだったから進めといたわよ」

『え、あ、ありがとうございます。ってちょっと待ってください。罰ゲームはしないんですか!? せっかく考えてきたのに!』

「あ、忘れてた!」

『私も』

『グダグダですね!』



罰ゲーム!?

え、なになに?

めっちゃ気になる!

なんかヤマトが苦労人に思えてくる。



『それじゃあ罰ゲームについて説明します。今回の罰ゲーム。3人の中で最下位だった人が罰ゲームを受けることにします。罰ゲームは僕がライム様に、ライム様が母さまに、母さまが僕に考えてきました』



おー!

面白くなってきた!?

ワクワク

相当ヤバいやつお願いします!



『ライムの罰ゲームは「ライムのチャンネルで自身の歌を生配信しながら聞く!」です』

『い、いやぁぁぁぁぁ!?!?!?』

「あっはっは」


僕は知っている。

ライムが自分の曲を聴くのが嫌なことを。

僕がリビングで聞いているといつも大きな物音を立てながら入ってきて、音をミュートにする。



何今の悲鳴!

もしかしてライム!? だとしたらすごく可愛い


30代パパ

か、可愛い

¥10,000


風紀警官

ライムさんの身の安全は私たちが守ります

¥12,000



『あ、あの、他の罰ゲームは?』

『ありません。それに罰ゲームが嫌なものの方がやる気がでませんか?』

「そうよ、それに罰ゲームはこうでないと」

『……絶対勝つ!』

『その意気です。では次にライムさんお願いします』

『はい、私が撫子さんに考えてきた罰ゲームは、「ファン10人の家にお邪魔するまで終われないの旅」です』

「え!」

『因みにファンの人は応募制で、その中から10人決めてもらいます』



おお!

ありがとうございます、ライムさん!

ライムさん、ヤマト様、勝ってください!

ヤマト様、ファイト!



流石は僕の配信に来てくれている人。

やはり母さんのファンもそこそこにいる。


問うの母さんはというと苦笑いを少し浮かべている。


「あ、あのライムちゃん? 私、普通に仕事が忙しくてやる暇がないんだけど。さすがに10人を回ることは……」

『でもやってもらいますよ。罰ゲームなので』

「いや、だからね、時間があまり」

『勝てばいいんじゃないですか? あ、もしかして勝つ自信がないとか? だったらいつも通り我が儘で仕事の予定をずらしてもらったらどうですか』



ら、ライムが撫子さんを煽ってる

さっきの仕返しだ!

撫子ママが痛い目を見るの珍しい!

バチバチしてきた!



「そうよね。勝てばいいのよね」

『な、納得してもらったなら何よりです。では母さま、僕への罰ゲームをお願いします』

「そうね。ヤマトの罰ゲームは次の配信で『凸待ち』というのをやってもらうわ」

『え、マジ』

『ヤマトさん、乙(凸)ですw』

『全然面白くないですよ』



マジでっ!?

個人勢でありながら、初配信から2週間で凸待ちなんて勇気あるな。

これ、凸者ゼロとかありえるんじゃない?

流石にゼロは……ないよな?



『ちょっと待ってください母さま! さすがに凸待ちは誰も来ませんよ!』

「大丈夫よ。私は行くから」

『あ、せっかくだし私も行こうか?』

『あ、ありがとうございます! これで0人は回避。ならいいか』



速報『ヤマト様、人生初凸待ち0人回避!』

おめでとう!

でもこれだと弱すぎない?

なんか二人に比べてしょぼい気がする



しょぼいと言われようが何でもいい。

0人凸待ちなんて黒歴史でしかない!


「あ、言い忘れてたけど、私たち家族は含めないわよ」

『え、あ、でもライム様は家族ではありませんし』

「ダメよ。ライムは凸待ちするって知っているわけだし。だからヤマトの連絡先を知らなくて家族以外の人から人数に数えてね」

『いやいや、僕Vtuberの友達いないんですけど!?』

「だったら0人ね」

『マジですか』

『これで条件は一緒ね』



悲報『ヤマト様、人生初凸待ち0人不回避!』

ドンマイ!

これで条件は対等か。

いや、下手するとアーカイブに残るヤマトちゃんの方がきついぞ



母さんの一言で、コメント欄の中身が完全に入れ替わる。

これで条件は良くなったかもしれないが、僕たち3人にとってはなにがなんでも方にといけなくなってしまった。


『絶対に勝ちます!』

「ちびっ子たちは最年長者に勝利を譲りなさい」

『私の降臨デビューなので勝利を譲ってください』


かくして、負けられない戦いが今始まる!

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