乗り越えられなかった

滝の麓に子供が立っていた。何をしているのかと尋ねたら、微笑んでこう答えた。

「友が竜になるという夢を叶えて、空へ行っちゃったの。僕も竜になって追いかけようとしたんだけど……」

 青年は静かに首を横に振ると、川へと飛び込んだ。


 一匹の小さな鯉が、下流の方へ寂しそうに消えていった。

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