第16話 病院船

20時00分

イギリスの首相「リソク・スナック」が声明を発表。

「我々はこれ以上の戦争拡大を望まない、日中両国が再び手を取り合えると信じている。」

「戦争終結に繋がるのであれば、我が国はいつでも交渉のテーブルを用意する」とも発表した。


20時30分

ドイツやフランス、北欧などの欧州諸国や、トルコを始めとした中東各国も同様の声明を発表した。


21時00分

アメリカ政府が声明を発表。

「これ以上の戦争拡大を望まないが、我々がしてやれることは無い、日中両国が早く頭を冷やすことだ。」

と発表。


開戦初頭の日米同盟の発動拒否に続いての、事実上日本を見捨てるともとれる発表に対して日本国内で更に反米感情が高まった。

また、世界各国からもアメリカを非難する声が相次いだ。


23時00分

天津テンシンから強襲揚陸艦きょうしゅうようりくかん3、フリゲート艦3、駆逐艦1、病院船びょういんせん2、補給艦1の計10隻が東シナ海へ進路を取った。


8月27日

00時00分

ICBM大陸間弾道ミサイル「あすかⅢ」部隊に出動準備命令

ASBM対艦弾道ミサイル「かいよう」部隊に待機命令


国防陸軍特殊空挺部隊「ウィングダイバー」に出撃命令


02時00分

伊丹空港から「ウィングダイバー」を載せたC-2輸送機が離陸、沖縄へと向かう


03時26分

偽装作戦従事中の第三強襲艦隊と第十艦隊が済州島さいしゅうとう沖の公海に展開


03時34分

満州まんしゅう共和国、大連ダイレン市沖を中国艦隊が通過した。

通過の際に新満州共和国軍が撮影した画像が物議ぶつぎかもすこととなる。


中国海軍は、あろうことか病院船で揚陸艦をサンドイッチし、事実上の盾としていたのである。


新満州共和国国防省は即座に世界へ向けこの画像を公開、世界各国から人民中国への非難の声が殺到した。


それに対して人民中国政府は

「艦隊行動の一環でたまたまこういう形になってしまっただけ」

「病院船を盾にした訳ではない、偶然そう見えただけ」などと説明した。


また、国防海軍の原潜「ふくい」やSS通常動力型潜水艦「なだしお」などがこの艦隊を追尾していたが、万が一にも対艦ミサイルや魚雷が病院船に向かうことをJTF統合任務部隊司令部が恐れたことにより、この艦隊を攻撃できなかった。


後に「ふくい」クルーの語ったところによれば「病院船に当てずに揚陸艦を撃沈する自信はあった、だが上からの命令には逆らえず結局撃てなかった」そう語った。


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