ぬいぐるみ
内藤 まさのり
ぬいぐるみ(縫い包み)
私には愛玩するぬいぐるみはいない。だが毎日就寝している布団の横には猫科の動物と思われる二つのぬいぐるみがいつも横たわっている。妻が幼少の頃から可愛がっている「クタちゃん」と「ライラ」の二匹だ。妻曰く、40年以上にわたる親友とのことだ。
先にも述べたが私には現在愛玩するぬいぐるみはいない。過去にも正確な意味においての〝ぬいぐるみ(
私が考えるに、現実の中でさまざまな経験を積むにしたがって、物事の先が少しづつ読めるようになる。それによって逆に身の回りで想像力を働かせる機会が無意識のうちに徐々に削られ、次第に想像力が乏しくなり、ついには人形に魂があるかの如く扱って遊ぶことに抵抗を覚え始めるのではないだろうか。
そして色々と考える中で、もう一つ疑問が湧いたのだが、その疑問に自分なりの答えを見つけることが出来なかった。それは〝ソフトビニール製の人形〟に比べると、妻がそうであるように〝縫い包み〟の方が長く、場合によってはその持ち主が亡くなるまで愛され続けるという点についてだ。
おわり
ぬいぐるみ 内藤 まさのり @masanori-1001
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