日曜日の公園

カフェオレ

日曜日の公園

 ある日曜日の午後。小学生のはなちゃんはクマのぬいぐるみのチョコを持って公園へ行きました。

 おうちでテレビばかり見ていたのでパパとママにチョコちゃんと公園で遊んで来なさいと言われたのです。

 つまんないなぁ、テレビ見たかったなぁ。花ちゃんがそう思っていると、公園に見覚えのある女の子がいました。

麻理まりちゃん!」

 お友達の麻理ちゃんです。

「あ、花ちゃん!」

 麻理ちゃんは嬉しそうに立ち上がりました。

「あ、スッピーも一緒なんだね!」

 スッピーは麻理ちゃんの大切なウサギのぬいぐるみです。

「うん! 花ちゃんもチョコちゃん連れて来たんだ」

「うん! パパとママがチョコと公園で遊んできなさいって言うから」

「え、私もだよ! ママがスッピーとお散歩しておいでって言うから」

 花ちゃんはそうなんだぁ、と言いました。

 それからしばらく、二人はお互いのぬいぐるみを可愛い可愛いと褒め合いました。

 そうしていると、

「おーい、花ちゃん。麻理ちゃん」

「あ、珠美たまみちゃん!」

 お友達の珠美ちゃんもやって来ました。

「あ、アイちゃんとアンちゃんも一緒! アイアン姉妹だ!」

 珠美ちゃんは双子のサルのぬいぐるみを得意そうに見せました。

「可愛いでしょ〜」

 花ちゃんと麻理ちゃんはアイとアンを可愛い可愛いと褒めました。

「私達三人って本当に仲良しだね!」

 花ちゃんは嬉しくなってそう言いました。

「本当だね。私、たまたまパパとママに外で遊びなさいって言われて公園に来たら、二人がいたからびっくりしちゃった」

 珠美ちゃんがそう言うと花ちゃんと麻理ちゃんは私も私も、と言いました。

「珠美の家ね。今日、大事なお客さんが来るんだって。つまんないからアイとアンを連れて行きなさいって言われたの」

 珠美ちゃんがそう言うと、へえーそうなんだぁ、と他の二人は言いました。

 それから三人はぬいぐるみと一緒に遊びました。


 さて、そうしているとすっかり日が暮れてしまいました。

「もうこんな時間。私そろそろ、帰らなきゃ」

 珠美ちゃんはそう言うとアイアン姉妹を大事そうに抱えました。

「あ、私も帰らなきゃ」

「私も」

 花ちゃんと麻理ちゃんもぬいぐるみを抱えます。

「帰ろうねー。アイスちゃん。アンパンちゃん」

 珠美ちゃんはそう言いました。

「アイアン姉妹って本当はそんな名前だったんだ!」

 花ちゃんはびっくりしてそう言いました。

「うん、パパとママが付けた名前だよ。変だよねー」

「そんなことないよ、可愛い! うちのスッピーも本当は変な名前だし」

 麻理ちゃんがそう言いました。

「え、スッピーも本当の名前があるの?」

 花ちゃんはまたしてもびっくりして、そう聞きました。

「うん、スピードっていうんだ。パパとママが付けたんだよ。変だよね」

「そんなことない。カッコいい!」

 花ちゃんはそう褒めました。

 それから三人はお互いのぬいぐるみの名前を褒め合いました。

「本当にそろそろ帰らなきゃ。じゃあね、花ちゃん、麻理ちゃん。またぬいぐるみのお泊まり会しようねー」

 そう言うと珠美ちゃんは帰っちゃいました。

 ぬいぐるみのお泊まり会とは、ぬいぐるみを持ってお互いの家に泊まりに行くことです。これは三人のパパとママが提案して始めたお泊まり会です。

 三人はぬいぐるみを持ち寄ってお泊まり会をする程の仲良しなのです。

「そういえばさー、ぬいぐるみのお泊まり会の前と後でチョコが軽くなってる気がするんだよね」

 珠美ちゃんが帰った後、花ちゃんは麻理ちゃんに言いました。

「私も! スピードが軽くなってるなぁって思ってた!」

「麻理ちゃんもなんだ! 珠美ちゃんのアイスちゃんとアンパンちゃんも軽くなってるのかなぁ? 明日また聞いてみよ」

 そう言うと、麻理ちゃんと花ちゃんも、おうちへ帰りました。


 翌日、三人のパパとママは警察に逮捕されちゃいました。

 めでたしめでたし。


 蛇足


・麻理ちゃんと花ちゃん……二人合わせて「マリファナ」

・珠美ちゃん……「タマ」(錠剤型合成麻薬の隠語)

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