ワタシは前世持ちのマークー。〜生まれ変わった?ら、異世界でクマ的な布人形(ぬいぐるみ)でした。

るるあ

袈裟を着ていたはずが、気がつくと毛皮に。


 ふっと、意識が浮上する。

 …ベッドに横になっている?寝ていた?


 目の前には、壁面全てガラスの扉?窓?

 その向こうに、赤と青二つの大きな、月。

 …恐ろしく綺麗だな。


 現実感のない状況で、背中の温かさに気がつく。後ろからぎゅっと抱きしめられている?

 おや?首元辺りを締められているのだが、身体がへこむだけで、痛みも苦しさもない…?

 恐る恐る後ろを振り返ってみると、金髪碧眼の幼女。


 ようじょにぎゅってされてベッドにねてる?


 ?!!?!?


 …南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……、

 よし、平常心。


 確か私は、檀家の月見里やまなしさんの四十九日法要を終えて、愛車のスーパーカブで山道を下っていた。

 四十九日。故人の来世が決まり、喪が開ける日だ。「月見里(やまなし)なのに山に住むばあちゃんよ!」が口癖の梅子さん、お茶目な人だった。

 この限界集落では、住民は皆知り合いだ。あの日は集落の殆ど全ての人で盛大に行った、いい法要だった。


 その余韻を噛みしめ、しんみりしながら寺までの近道を走っていた時、横の藪から何やら黒い獣?が飛び出して…慌ててハンドル切って…


 ああ、私はあの崖に。

 

 赤く、大きな満月の夜だったから、愛車が自転車だったらETだったよなぁ、なんて遠い目をしていると、首締めが緩んできた。

 うん、動けそうだ


 拘束から逃れる為身じろぎすると、私の身体…異様に軽いな?

 私の手…腕?

 毛?!布?、?、!?、?


 ベッドから転がり落ちて、窓?に貼り付く。

 そこに映るテディベア、的な何か?

 あっ、腕にいつもの数珠がある?!


 …輪廻転生、人間の次は修羅道と聞いたのですが、私は一体!?!


 窓の外、二つの月を見上げると、そこに雲がかかって、私は意識を失った。



 ★☆★☆


 その後、どうやら異世界という名の修羅道(王政とか魔獣とか貧乏領地とか)だと判明したり、

 私の持ち主がワイペアー《wild Pear》家のアプリカ《aplicot》ちゃん(月見里梅子さん…婆さま?!)で、この世界でぬいぐるみ《布人形》を作り出して領地おこしを頑張っていたとか

 私は満月の日しか動けないとか色々あったのだが…


 この生で徳を積めば、次は通常の輪廻に戻れるかな…?と期待して、努力する事にしたのだった。






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