あのリア充どもめ……

月簡

あのリア充どもめ……

 アイツら、なんでこんな公園のベンチでいちゃいちゃしてるんだ?


 こんな所に居たら迷惑だって気づけないのか?


 きっと馬鹿なんだ。そう自分に言い聞かせて心を落ち着かせる。


 リア充とはなんなんだろう。彼女や彼氏がいて、友達もいて、人生満喫している。


 じゃあ俺はなんなんだろう。


 友達なんて今も昔も1人もいない。彼女も1度だってできたことは無い。人生満喫の「ま」の字すら見当たらない人生。


 じゃあアイツらみたいになりたかったのか? そう言われるとなんとも言えない。


 やはり、前言撤回だ。リア充になりたい。


 だが、リア充を見るとイライラする。


 あと、完全に関係ないが、リア充は俗語だ。けれども多くの人が使っているのだから、国語辞書に「リア充爆発」と共に載せておくべきだと思う。


 そんなことを思っていると、ついに殺意が湧いてきた。


 よし、殺そう。


 よく考えてみれば、友達も恋人も、楽しみも無い人生になんの意味もないんじゃないか。ここであいつらを殺し、捕まればいいんだ。


 ナイフを購入するため、ホームセンターへと向かった。ホームセンターのマスコットである可愛いぬいぐるみもあった。正直欲しかったが、今は奴らを殺すことの方が重要だ。


 ナイフをレジに出すと、店員に怪訝な顔をされてしまった。だが、そんなのは関係ない。最悪の場合、この店員すらも殺してしまえばいいのだ。


 走って公園に戻ると、まだリア充達はいちゃいちゃしていた。


 見つかってはまずい。


 そう思い、ベンチの後ろにある茂みに隠れた。リア充達は気がついていない。


 脳内で刺す様子をシュミレーションする。


 よし、完璧だ。まあ3回も刺せば息絶えるだろう。


 ベンチの後ろにたどり着き、茂みから体を出した。まだ気づかれていない。


 ベンチの背もたれに手を置き、乗り越える。


 そして、リア充の胸に向かって刺した。


 ナイフが体に滑り込む感触。心地いい。


 目の前には、胸から綿を吹き出したぬいぐるみが転がっていた。

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