第7話 戦場
(自分が自分じゃないみたいだ。気持ちがいい。ただ今はフツロを殴りたい。フツロと戦いをしたい。今なら魔法が使える気がする。フツロが剣を使わずにいるのは俺が剣を持ってないから。エボさんがさっき確か剣造ってたよな。
あれ使ったらフツロも剣使ってくれるだろうな。剣欲しいな。剣よ俺のもとに、)
「来い!!!」
ものすごい勢いで剣がレアトの右手目掛けて飛んでいく。
驚きの目を隠せないフツロとエボ。
その目と同時に喜びの声も上げた。
「おいレアト!ついにやったな!!思ったよりも早かったが、魔法使えたじゃないか!!」
「全く早すぎるけどしんどすぎだせ。おめでとうレア、、ト?」
エボとフツロの喜びの声はレアトに届かない。フツロに煽られ人生で一番イラついてキレているレアトに彼らの声は届かなかった。
「おい!レアト!もう終わったんだ!お前はもうフェリスに!グッワ!!」
渾身の蹴りをフツロに喰らわすレアト。今の彼はフツロに攻撃をすることしか頭にない。
「もぉーフツロはいつもやりすぎなんだからー。」
「いつもじゃないですから。とりあえず早くどうにかしてください。俺久しぶりに疲れたましたよ。」
「はいはい。」
そう言ってエボはもう1人のエボを生成し、素早くレアトを抑える。
「おいレアト〜、初めてにしては上出来すぎだし、魔法は使えるようになったから休憩しようね〜。」
そう言ってエボはレアトを眠らせた。
***
「はいっ!レアト!休憩終わり!起きて!」
「え、あ、、」
目が覚めると目の前にはエボさんとフツロさんがいた。記憶はある。フツロさんに申し訳ないことをした。
「あ、フツロさん。本当に申し訳ないです!」
渾身の土下座が決まった。
「いいよいいよ。気にしてないから。」
さっきまで喧嘩していた人とは思えないぐらい優しい目をしていて驚いた。
「フツロはね、戦うときだけさっきみたいに性格が変わるんだよ!あ、でも影が薄いのは変わらないから気をつけてね!」
「もぉーエボさん!おちょくるのはなしですよ!」
ギャプが凄すぎる。そこらの女子はイチコロだろう。
「とりあえずレアト。君は魔法を習得した。最後の場面覚えてるかい?」
「はい、確か剣を使いたいと思い念じたらエボさんが作った剣が右手に、、」
「覚えてたのなら良かった。おそらくだけどレアトの魔法はね〜。操作系だと思う。」
「操作系??」
「そう!レアトが剣を使いたいと思ったから剣を操作できた!まだこれしかわからないから色々やってみよう!と言うわけで起こしたの。まぁ操作の魔法だね、早速使っていこう!」
それから俺は自分の操作の魔法に慣れていく訓練をした。動かしたいものを動かす訓練。色々上手くいきすぎて怖い。
そういえばフツロさんはいつのまにか消えていた。聞くところあの人は兵士たちの中からフェリスになる人、を未来視で探して訓練してるらしい。結構大変な仕事だ。
しかし、それでもフェリスが少ないのは相当才能がいるからだらう。
「なんかもう使い方余裕で分かってるね。体が勝手に覚えてるよ。レアト!君は正式にフェリスだ!3日間でフェリスなんて偉業だよ!!おめでとう!!」
「本当ですか?嬉しいです、」
初めて人に褒められた気がする。色んな初めてが経験できるから俺はフェリスになって良かったと思う。
「明日はとりあえずさっさと2人で倒して他のフェルテフェリスの魔法見にいこう!」
「頑張ります!」
俺はフェリスになることが出来た。
自分の魔法を早く実践で使いたい。試してみたい。そして、戦いたい。
自分でもここまで早くフェリスになれるなんて思ってもなかったし、戦場に出たいとも思わなかった。フェルテフェリスの戦いも気になるし明日は全力で戦いたい。
***
(、や、、、、ニ、、に、ど、て、、、ん、が、、て、る、。)
「レアト!!おい!戦い中だぞ集中しろ!!」
エボさんの声で気がついた。戦場に駆り出されてる2人、時間は15分前に遡る。
***
「さぁ行こうかレアト、俺らは南方面らしいからさっさとカラーミーを倒しにいこう。」
「了解です。エボさん。」
「東南方面が近いからそこから見に行くか!!」
「楽しみです。」
南方面のある地点についた2人。カラーミーを視認することが出来たのだが、そこにいたカラーミーは前いたカラーミーとは違った存在だった。
本来の赤黒い肌に人より少し大きい背丈のカラーミーだが、2体ほど青い肌をして武器を所持しているカラーミーがいた。
「おいおい、新しいカラーミーかよ。こちらエボ!新種のカラーミー確認!他のところは?!」
エボさんが新種のカラーミーを確認したことを他のフェルテフェリス達に伝える。やはりあのカラーミーはおかしいらしい。
「こちらりあ。こちらも新種の青いカラーミーを確認。」
「こちらマンストロー、こっちにもいるよ〜。強そうだね!!」
他の2人からの応答はない。
「レアト、とりあえずやるしかないようだが、やれるか?」
「もちろんです!」
「とりあえずレアトは雑魚を頼む!」
「了解です。」
(俺の初陣、正直めっちゃ興奮してる!!やばい、はやく倒したい!いくぞ!カラーミー!)
カラーミーたちがエボとレアトに襲いかかる。エボはその場から消え、レアト1人になる。それにレアトは気づいていない。ただただ、目の前のカラーミーを倒すことしか頭になかった。
「
カラーミーのスピードが落ちる。それと同時にレアトの身体能力が大幅に上昇。
(これが魔法、気持ちがいい)
一発二発、レアトの拳がカラーミーに刺さる。
カラーミーは驚くほど吹っ飛びレアトの表情はいつものレアトのそれとは違った。
(これじゃあ倒せないなー、よしあれだな!)
「
レアトの周りにさまざまな武器が出てくる。
その中からレアトが選んだ武器は日本刀。
華麗は切れ味を持つ日本刀でレアトはカラーミーを斬っていく。カラーミーの無惨な死体。それを見下ろすレアト。カラーミー達もその光景を目にし、レアトに攻撃するものはいなくなった。
「
カラーミーたちの視界からレアトが消える。そしてだんだん地面が近づいてくる、カラーミーの首が地面に落ちたのだ。その意味が分かってなかったカラーミーと分かったカラーミー。この分かれ目が彼らの生死を分けているとはどのカラーミーも思っていなかった。次々と落ちていくカラーミー達の首、絶叫を上げながらレアトから逃げるものもいた。側から見れば圧倒的な悪はレアトだろう。それでもレアトは止まらない。
(まだ、まだだ。どんどん倒さないと、)
この光景をついに目にしたエボ。
「おいおい、昨日の訓練の時より酷いことになってるじゃねーか。全くレアトは一体なんなんだ??まぁいっか。」
エボは瞬時にレアトの目の前に現れた。創造の魔法で造った睡眠薬でレアトを眠らせる。
「レアト!!おい!戦い中だぞ集中しろ!!」
気がついたレアトは状況が読み込めなかった。
「エボさん俺どうしたんですか?」
「知らん!とりあえず暴れてたってことは確かだな。」
無惨なカラーミー達の死体を目にするレアト。
これは本当に自分がやったのかと疑うほどにその景色は残酷だった。
(これを俺が?やばすぎだろ。)
レアトの感情は9割5分恐怖だったが、残りの感情は自分でも理解ができずにいた。
「エボさん、残りの青いカラーミーは??」
「あぁ、何故かあそこで待ってるぜ。」
エボの刺す指の先を見るとそこには決闘はまだかと気長にあぐらをかきながらこちらを眺めている青いカラーミーがいた。
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