僕はこの世界を作った。


チクチクと糸と布で皮を作り、綿を詰めて形成する。僕の元に落ちてくる魂でぬいぐるみたちに命を灯す。

糸は運命で、布はその魂の願いで、綿は僕からの愛で出来ている。命を灯せば、地上に降ろしてあげた。


何処からやってくるかわからない魂達は、一様に傷ついていた。

僕は彼らの傷を癒すために、痛みの無い世界を作り、生きることを忘れないように役目を作った。


僕は雲の上からでしか、動く彼らの姿を見ることは出来ないけど、彼らはとても可愛い。見ているだけで癒され、独りぼっちの僕の寂しさも消えていく。


やがて彼らは傷が癒えれば、ことりと動かなくなって、別の世界に飛び立っていく。僕はその魂達を見送りながら、もうこの世界に来なければいいと別れを告げる。


ある日、一人の少女が人間のまま僕の世界に来てしまった。僕の手元に来るはずの魂がすり抜けて、地上に行ってしまったせいで、ぬいぐるみになれずにいた。

しかも、元いた世界の記憶も持っているらしい。


地上に僕の声を届かせるには、人形の彼女の元しかない。それに気づいてくれればいいなと、少女達を見守っていた。


少女達はいろいろなぬいぐるみ達の元を訪れ、最終的に人形の元へと辿り着き、ホッとする。


僕は少女に、三つの選択肢を与えた。

そうして、選んだのが、少女もぬいぐるみになることだった。


僕が与えた体は、海の鳥。遠くに行きたいという少女の願いで、作られた鳥。

海を越えて、仲間と共に何処までも、悲しくなくなったら、苦しくなくなったら、少女もまた別の世界に向かうのだろう。


遠い未来に思いを馳せながら、僕はまた傷ついた魂の為にぬいぐるみを作る。

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僕の世界を紹介しよう 熊のぬい @kumanonui

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