ぬいぐるみは強い味方?

明石竜 

第1話

「あのバッジのおかげで青い髪の変なおっさん、ノーダメージで倒せたっていうか僕は何も攻撃しなくても勝手に自滅しちゃったよ(笑)」

 雷を自在に操るおっさんを倒し、降参したそいつから牢屋のカギを貰った後、小屋に閉じ込められていた少女を救った少年は、得意げに笑う。

「それはよかったわ。わたしを誘拐したあのおっさんめっちゃ気味悪かったしざまあみろって感じね。さあ、いっしょに街に帰りましょ。帰り道もきっと危ないけれど、二人で力をあわせてなんとか戻りましょう」

「その前に洞窟に向かおうよ。僕にとって大事な場所があるみたいだから」

「あの洞窟、途中の谷以上に強い魔物がいっぱいいそうだし、なんか怖いな」

「大丈夫、大丈夫。きみもぬいぐるみ持ってるじゃん。それ持ってたら攻撃代わり受けてもらえることがあるから」

「これ、わたしの大事な宝物なんだけどな…」


 無料で泊まれるようになった宿泊所で一泊し、少年はママに電話したのち、少女とぬいぐるみと一緒に洞窟内へ。

「このモグラ、雑魚だね」

「経験値いっぱい入って来たぁ♪」

 洞窟入ってすぐに出会う雑魚には余裕。

 しかし奥の方へ進んでいくとさらに手ごわい敵が三体纏めて襲ってくるようにもなり、

「このでかい熊、会心が入ったのか一発でぬいるぐみがぼろぼろに」

「やばいよ。いったん逃げましょう」

「うん。あれ、逃げれない」

「きゃあっ!」

 少女、熊がお供に連れていた蝙蝠から一発くらわされ気絶。

「ちょっと待って。僕もHPあんまり残ってない。うわぁっ!」

 少年もでかい熊に鋭い爪で引っかかれ気絶。

 ようするに全滅である。

 

「やっぱこいつら相手にするにはもっとレベル上げる必要ありか」

 ゲーム画面には表示されていないが、あんな会話が交わされていたRPGのプレイヤーは苦笑いで反省点を呟くのだった。

 そして実機にはなかった巻き戻し機能を使ってさっきの戦闘をなかったことに。

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ぬいぐるみは強い味方? 明石竜  @Akashiryu

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