その日、人類はぬいぐるみになった!?

三国洋田

第1話 というか、着ぐるみを着せられた

 朝、目が覚めた。


 ああ、今日も仕事だなぁ。


 あぁ……

 メンドクセェ……


 だが、そんなこと、言っていられないよな……


 生活するためだからな……


 さて、やりたくないけど、今日もがんばるか。


 では、支度をしよう。


 俺は洗面所に向かった。



 洗面所にある鏡の前にやって来た。


 えっ!?


 な、なんだこれは!?


 鏡には猫が映っていた。


 いや、正確には、猫のぬいぐるみのようだな。


 茶トラで、目がパッチリとしていて、とてもかわいい。


 これは着ぐるみか?


 なんで俺はこんなものを着ているんだ?


 そういえば、昨日は酒を飲んだよな?


 酔った勢いで着ぐるみを買って、着たまま寝てしまったのだろうか?


 うーん、まったく覚えていないな。


 って、今はそんなことを気にしている場合ではないか。


 原因の究明は仕事を終えてからにしよう。


 さて、着替えてしまおうか。



 俺は着ぐるみを脱ごうとした。


 えっ?

 あれ?


 これ、どうやって脱ぐんだ!?


 チャックがどこにもないぞ!?


 これでは脱げないじゃないか!?


 どうしよう!?


 あっ、そうだ!


 脱ぎ方をネットで調べてみようか!



 俺は着ぐるみの脱ぎ方を検索してみた。


 えっ!?

 な、なんだこれは!?

 妙な記事が出てきたぞ!?


 地球にいる人々が全員ぬいぐるみになったって、どういうことなんだよ!?


 ちょっと読んでみよう!


 本日未明、世界中の人々が、突然着ぐるみを着ていた!?


 原因は不明!?


 ナニソレ!?

 訳が分からないぞ!?


 しかも、この着ぐるみの脱ぎ方も不明!?


 なんじゃそりゃぁっ!?


 意味が分からんぞ!?


 いったい何が起こっているんだ!?


 もしかして、地球はヤバい状態なのか!?



 あっ、ヤバい!?

 トイレに行きたくなってきたぞ!?


 だが、着ぐるみが脱げないぞ!?


 どうすれば良いんだ!?


 そうだ!


 もうこうなったら、着ぐるみを切り裂いてしまおう!


 よし、そうしよう!



 俺はハサミや包丁で着ぐるみを切ろうとした。


 だが、切ることはできなかった。


 な、なんだこれ!?


 この着ぐるみは何で作られているんだ!?


 傷ひとつ付けられないぞ!?



 ああっ!?


 も、もう我慢が……


 くっ、仕方ない、せめて風呂場に行こう!


 俺はバスタオルを持って風呂場に向かった。


 そして、俺は人としての尊厳を失った……


 その後、下半身をよく洗い、ドライヤーで乾かした。



 ああ、悲しいなぁ……

 こんなの悲しすぎるよ……


 もう、いい年をした大人だというのに、おもらしだなんて……



 うっ、腹が鳴ったぞ。


 そういえば、何も食べていなかったな。


 何か食べようか。


 って、どうやって食べれば良いんだ!?


 着ぐるみのせいで、食べられないぞ!?


 ああああああっ!!

 どうすれば良いんだよぉぉぉっ!!



 うぐぅっ!!!

 ま、またトイレに行きたくなってきた!


 し、しかも、今度は大きい方だっ!!!!!


 くっ、くそっ、いったいどうすれば良いんだぁぁぁっ!!!!!


 うわあああああぁぁぁぁぁっ!!


 も、もう我慢が……


 あ、ああ、あああああああああああああああああああああああああっ!!!!!



 その後、なんやかんやで人類は全滅した。





「隊長、知的生命体の全滅を確認しました」


「ああ、分かった」


「それにしても、うまくいきましたね、隊長。こんな訳の分からない作戦なのに」


「ああ、そうだな」


「隊長、こんな作戦、誰が考えたんですか? すべての知的生命体にぬいぐるみを着せて、駆除しようだなんて」


「無論、私だ」


「あ、隊長が考えたんですか。 ……すごいですね」


「うむ、そうだろう。これであの惑星は、我々ヌイグルミ星人のものだ」


「いやあ、めでたいですねぇ」


「ああ、まったくだな。さて、次の作戦に移るとしようか」


「了解です。では、惑星に降下します」


「ああ、頼む」


 その後、ヌイグルミ星人たちは、地球で平和に暮らした。



 完!!!

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その日、人類はぬいぐるみになった!? 三国洋田 @mikuni_youta

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