第22話
それは突然の出来事だった。ある日の日曜日、朝ご飯に手間取ったおばあちゃんを怒鳴りつけ、後片付けをしているところに俺の母親が現れた。病院を退院するときにあれこれ世話を焼いてくれた小太りの男と一緒に。俺の母親は言った。
「お前なんてことを・・・・・・。」
俺は何のことかわからず、相変わらず俺の母親とは分かり合えない、そう実感した。すると小太りが口を開いた。
「おばあさんはこれから施設に入所してもらいます。」
この言葉を理解するのに少し時間を要した。おばあちゃんが施設に?
なんで?
ここで普通に暮らしているのだが?
「あなたはおばあさんを虐待しています。」
小太りは悲しそうに告げた。そしてなにやら書類を俺に見せた。それはおばあちゃんの通っていたデイケアからの報告書だった。体の痣や傷、デイケアスタッフが聞き出したおばあちゃんの俺への恐怖、そんなものが記されていた。俺は思わず笑った。
「他人にはわからないんだよ。俺とおばあちゃんの関係はちゃんと成り立ってるんだ。他人は口をはさむなよ。」
すると俺の母親が口をはさんだ。
「私はお前の母親で、おばあちゃんの娘だ。」
「おまえは誰よりも他人だ。」
俺は俺の母親に怒鳴り返した。
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