第11話

 いつの間にか個室に移されていたおばあちゃんを見て俺は仰天した。おばあちゃんの手には鍋つかみのような厚い手袋が嵌められていた。その手袋にはひもが付いていて、ベッド柵に括り付けられている。腰には帯のようなベルトがついていて、そのベルトはおばあちゃんが起き上がることすら許さなかった。なによりおばあちゃんの目がいつもと全然違った。かっと見開かれた目が正直怖かった。そして口から唾をまき散らしながら叫んでいるが、おばあちゃんの口から出た言葉とは思えないほどひどいものだった。ショックのあまりふらふらと部屋から出た俺に、俺のそばにいた看護師が個室のドアを閉めながらひきつった笑顔で言った。

「わたしは昨日排泄物を投げつけられたんですよ。」

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