幼馴染VTuberのダンジョン探索配信に一度だけ出演した結果『超神回』と話題になり、ついでに探索者のスカウトまで来た件について
道野クローバー
第1話 ダンジョンが生えてきたらしい
「ねぇ、
「……は?」
俺の家に上がってくるなり、突拍子もないことを言ってきたコイツの名は
……で、一方こっちは20歳フリーターの
「何だ、ダンジョンって……ゲームの話か?」
「違うよ! ニュース見てないの? 『突如として全国の各地にダンジョンが生えてきましたー』って!」
「いや、そんなタケノコが生えてきましたー、みたいなノリで言われても……」
そもそもニュース番組が『ダンジョン』なんて単語使って良いのかよ……?
「……」
……ここまで話を聞いた俺は、彩花のドッキリか何かの企画だろうと結論づけて。その疑惑を解消する為にテレビを付けたんだ……そしたら『速報』と書かれた横には、大きな赤文字で『ダンジョンが出現!!』とテロップが。
「…………ドッキリもここまで来ると笑えるなぁ……」
「だから違うって言ってるでしょ! ……そんなに疑うなら他のチャンネルも見てみたら?」
「……」
俺は無言でチャンネルを切り替えるが、どれも似たような速報が流れていた。俺がよく見るお昼の情報番組のコメンテーターも、俺と同じように絶句して固まっていて……もう引くに引けなくった俺はスマホを手に取って、SNSの『つぶやいたー』。そして俺らの活動場所である動画サイト『YooTube』も覗いてみたが、皆一様に『ダンジョン』について情報を発信していたんだ……。うん……どうやらこれは……。
「…………信じるしかない……のか?」
「うん! 理解してくれたみたいで良かった!」
彩花はそう言って、小さい頃と変わらない笑顔を見せてきた。
「いや、逆に何でお前はそんなすぐ順応してるんだよ……?」
「えっ? だってこんな非日常的なことが起こったら、ワクワクしてこない? それに私、よくファンタジー系のアニメ見てるし!」
「そりゃ初耳だ……」
彩花にそんな趣味があったなんて知らなかったよ……そして彼女は続けて。
「それでね類、私が通っていた高校もダンジョンになってるんだって!」
「○ルソナ3かよ……学生は大丈夫なのか?」
「うん! 今冬休みだし、学校は無いみたいだよ!」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
生徒に怪我とか無かったのか? みたいなニュアンスで聞いたんだけど……まぁ無事なら良いよ。……それよりも。
「とにかく……そんな危なそうなものが出てきたのなら、俺らは近寄らないで。国とかに任せればいいだろ?」
「ダメだよ! こういう新しいことが起こったばかりの時は、法も追いついてないから……規制される前に急いで行かなきゃもったいないよ!」
「……」
考え方が悪人のそれと同じなんですけど、彩花さんよ……。
「それに私達VTuberだし、話題の最先端に追いつく必要があるんだよ!」
「いやお前なぁ……まーたこっぴどくマネージャーに怒られるぞ?」
彩花は過去に運営にも許可を取らず、一般の人(俺のことなんだけど)を勝手に配信に出したことで、マネージャーから怒られたことがあるのだ。それがきっかけで俺はVTuberデビューすることになるんだけど、それはまた別の話で……。
「だからまた勝手なことすると謹慎か……最悪クビだって考えられるぞ?」
「……」
クビ、という言葉に彩花は一瞬怯んだような表情を見せた。でも、すぐに彩花は向き直って……。
「でも……それがあったから今、類はここにいるし! ……彼女になれたし! 今回も何か見つかるかもしれないじゃん! 私は後悔したくないの!」
「……!」
俺は目を見開いた。そうか……コイツ。本当に生粋の『配信者』なんだな。面白いことが見つかれば、それを無視するなんて選択肢は無いんだ。そんな彼女に目を付けられている時点で、俺はもう逃げられないんだな。それを悟った俺は、やれやれと。
「はぁ……分かったよ。止めても一人で行きそうだし、今回だけ俺もついて行くよ」
「本当に……!? 類、ありがとう!」
「いや、マジで今回だけだからな? それにダンジョンなんて謎しかない、ヤバい場所なんだから……危険だと思ったらすぐに引き返すぞ? それでも良いんだな?」
「うん! 大丈夫!」
彩花は元気に頷く。そして背負っていた大きなリュックを、よいしょっと両手で上げる動作を見せて、準備万端と俺にアピールをしてくるのだった。
「はぁ……じゃあ。今日予定していた『第二回、まりもカートガチタイマン配信』は中止して。ダンジョン探索配信、行くとしますか」
「うん! しゅっぱーつ!」
──
──
これは「幼馴染のVTuber配信に一度だけ出演した結果『超神回』と話題になり、ついでにスカウトまで来た件について」の主人公と幼馴染がVTuberとして活動している最中に、ダンジョンが出現したら……というパラレルワールドのお話です。本編を読まなくても楽しめますが、気になった方はぜひ本編もどうぞ!
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