ある少女のただ一つ夢

 私がこの夢を叶えられないという事は、私が一番わかっている、けれど誰だって夢くらい見る、それが妄想に過ぎないとしても、幸せな夢を求めるのが人間だと思うから。


 私は大好きな人と、どこかへ行く夢を見る、行くのは何処だっただろうか?外国?バーチャルで鏡の国へ?それとも安定の国内?行くとしたら国内が良いな。


 外国は行った事が無いし、バーチャルは味気が無い…興味はあるけど…、けれど私は国内ならば幾つもの場所を知っている。オススメのデートスポットだったり、和食が特別美味しい旅館だったり、逆に洋食が格別なレストラン、だから夢で見るのは国内ばかり。


 だけど、私は私が大好きな人が行きたい場所に一番行きたい、それがどんなに興味の無い場所でも、大好きな人とだったらきっと幸せな時間になると思う。


 もし大好きな人が私の好きな場所に行こうと言ってくれたのなら、私は何処へ行くだろうか?


 これと言って特別行きたい場所なんてモノは、私には無いのかもしれない。退屈な人間だ、私はツマラナイ人間だ、私は夢でしか叶えられない現実になる事は無い、現実を前に私は何も考えられないでいる。


 でも行きたい場所は無いかもしれないけれど、見たい景色はある気がする、秋の紅葉を見たいかもしれない、誰も居ない森の中で二人だけでコテージを借りたい、キャンプをして狭いテントで二人きりでも良いかもしれない。


 昼は紅葉を楽しんで、夜は光害一つ無い星空を見たい。


 ただ二人で、この世界を眺めていたい。それは何より幸せな時間だと私は思う。


 だからきっと地獄で私の業を裁いて貰って、一から得を積み重ねて、いつか大好きな貴方の隣に立てるようになりたい、けれど私は今日も一つ業を重ねます、大好きな貴方の為に。

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