第15話 ダンジョン 魔物の集落 

お、戻ってきたな・・・スラが僕のところへ飛び込んできたよ。メリル隊長も、大丈夫だな・・・

「やあ、ケンジ、ありがとうな!」

「どういたしまして・・・」

「それにしても、お前のスラ!凄いな・・・いや、お前か?」

「さあ? スラが役にたって良かったですよ・・・」


「なあ、あれって? ケンジ、お前実は・・・凄いやつなんじゃないのか?」

「そういうことは、もっとでお願いしたいですね」

「ああ、すまん・・・で?どうなんだ?」

「ええ、まあ、ただのCランク冒険者ということです・・・」

「そうか・・だろうな・・・よし、私しか分かってないからな、秘密!にしておこう!」

「はい、ありがとうございます・・・」


「しかし〜・・・スラをなぜ?私に付けたのだ?」

「まあ、僕も一応荷物持ちとはいえメンバーみたいなものですから・・・スラはは得意ですからね、あと何かあればあんな具合に念話連絡も可能になりますから・・」

「ふ〜ん、そうか? まあ良い! ありがとう!」


まあ、「」を共有ってところで顔がにやけてたけど、これ大丈夫かな?

警備隊のテントに戻っていって、これから今日の第一階層のマップを作成するとか言っていた。僕は出しゃばらないよ!もう、完璧に、1階層、2階層、3階層のマップができているんだけど・・・


また、スイトンみたいな夕食だったけど、まあ、暖かくてよかったな。

今日は、女性陣は、といっても僕以外の全員だけど、湯を沸かしてテントの中で体を清めるそうだ。なので、僕は、しばらここから離れていることになった・・・

まあ、ちょうど良いので、僕も「住居」に行ってシャワーでも浴びてこよう。



「おい!、ケンジ! 戻っているか?」

って・・僕のテントの外で声をかけられているので、出ていけば、メリル隊長が湯上がりの?髪を乾かしながら、「ケンジも体でも拭いたら・・・って、あれ、もう、済んだみたいだな?」

「ええ、ちょっと歩いていたら湧き水があったので、それで済ませました。」

嘘は言ってないよ、確かにこの先の山に入るあたりに水が湧いていたんだ・・・

それを見てから「住居」に行ったから・・・

「そうか? なら良いか、また明日もよろしく!」 「はい、おやすみなさい!」



第二階層は、魔物の村だよな・・

村に近づかなければまず大丈夫だろうが、村の周囲を結構な数の魔物が徘徊しているようだから、見つからないように調査すべきだろうな。

まあ、それとなく言っておこう。

「実は、昨夜スラがふらふらといなくなったと思ったら、どうやらダンジョンの中に入っていって、二階層を見てきたらしいんですよ・・・」

「なんだって?」

「すみません! 監督が行き届かなくて・・・」

「いや、まあそうだが、それよりもスラは無事・・・だったんだな、そこにいるってことは」

「はい、スラに異常はありませんでした、それで、スラから聞いたことを隊長にも知らせたほうが良いか?と思いまして・・・」

って、メリルを一人呼んで話をした。まあ僕のマッピング情報だけど・・


2階層には、中央の川を挟んでゴブリンの村が2箇所、オークの村が2箇所、更に奥の岩山の麓の滝川が流れるあたりに、オーガの村が出来ている。


「そうか〜 魔物の村が出来ていて、見張りが村の周りをふらふらしているってことか」

「はい」

ケンジなら?どう攻める?

「えっ!?僕ですか?・・・」


「まあ、殲滅するのならそのまま真ん中を突っ切っていきますかね? ゴブリンやオークが何体いようが、まあ大丈夫なんで・・・

まずは調査、というのなら、昨日みたいに回り込んで様子を伺うという手もありますが、この階層はやたら広くて、周りに壁があるような空間ではないようです。

やたら広い草原、森、そして一番奥は岩山地帯ですから。

なので、真ん中突破でしょうか? ただし、昨日みたいに、認識阻害魔法を使ってさらに気配を遮断して進む、やむを得ず戦闘になる場合には、瞬殺するか一瞬で行動不能にするくらいのことが必要でしょうか・・・」


「うん? ケンジは、それを我々に求めるか?」

「また、スラを付けましょうか? 良い戦力になりますよ?」

「うん? スラのことも秘密にしておきたいのだろ? 良いのか?」

「まあ、あまり知られたくは無いですが、だから、スラがしていくというのは?どうでしょう? あいつならそのへんの奴らなら、蹴散らして進めますから・・・」

「そうか・・・あのスラは、そこまでの戦力なのか〜・・・」

「分かった、どうせ、お前も付いてきたいんだろ?」

「まあ、許可をいただければ・・・」

「いろいろバレる?のではないか?」

「大丈夫ですよ・・・こうしますから・・」ってその場で隠密!で消えた。

「えっ! 何処へ行ったのだ?」

「ここにいますよ、そのままです。」

「うん? 気配もないな・・・凄いなケンジ、お前は何者?」

と、まあ、姿を現して、「そういうのはで!」

「ああ、そうか・・・そういうことだな・・・くれぐれも墓穴を掘るなよ!?」

「はい、おまかせください!」

なんとか?わかってもらえたようで、僕も隠れて同行することになった。


「そうそう、メリル隊長? こういうダンジョンの魔物って食えるんでしょうか?」

「なに? そうか・・・オークか・・あまりダンジョンのものを食べるという話は聞かないな、ダンジョンの呪いがかけられている、って言われてるから」

ああ、やはりそうなんだな・・・

「獲物なら、肉以外の素材だけにしておいたほうが良いだろうよ?」

「はい、そうします!」

「お前は・・・ソレがしたかったのか!」

「いえいえ、それだけじゃあないですけどね〜、ただ、面白そう!だからですよ!」


ということなので、昨日スラから回収しておいた魔狼を収納内で解体して肉は虚空空間へ廃棄して、毛皮、牙、爪、魔石だけ収納しなおしておいた。

そういえば、昔読んだ小説に、魔物肉を食べた転生者がキメラになった・・・なんてのがあったかな? 現地人はなんとも無かったようだけど。

まあ、ダンジョンの肉は食べないように気をつけよう。


さて、二階層へ突入だ。スラはメリルに抱えられてみんなと一緒に入っていった。

僕は・・まず、ここが留守になってしまうからね・・・テントごと防御結界を張って、ダンジョン入口にも結界を張って、メンバー以外の出入りを禁止しておく。

・・・転移!で、みんなの後ろに移動して、メリルに念話しておく。

(メリル隊長? ケンジです。テント周りの安全を確保してきて、いま、ダンジョンの中です。早速先行して露払いをしておきますので、スラを放してやってください)

(うん? 早いな・・・ではよろしく頼む!)


(スラ! わかってるな? 今、みんなの後ろにいるから、隠密して後ろにおいで!)


マップ!で確認。この先、道がゴブリン村の横を通るからな、この辺を片付けよう!

転移!して移動。村の入口に入ったところで、落雷!を落としてやったら、村の外回りの連中やら村の中からもゾロゾロと集まってきてくれた。

まあ、僕に巡り合ったことが不幸なことだったと恨んでくれても良いからな・・・・

見えてる範囲に加重!でその範囲のゴブリンたちの動きを止めて、次は・・・って考える暇もなく、無数の光射が飛んでいった。まあ、スラの攻撃だけどね。

見事なもんだよ、こいつの成長は!

村の中に入っていくと、横からふらふら〜っと、道に飛び出してくるやつがいるけど、まあ、僕たちが居ることはわからないようだ。スライムと透明人間だからな。

そんな中、ただ光の筋だけが飛んで行く。ただソレだけのこと。

スラがポンポン弾みながら前を進んでいくと、何やら、村の裏から逃げ出している連中がいる。まあ、今日は・・・そのまま逃してやろう別に殲滅しなくても良いだろう。

道を通るメリルたち調査隊の邪魔をしなければね。


マップで確認、あと、30分もすればここを通るだろうから、・・・まあ大丈夫だろう。


川向うからガウガウ、ギャーギャー聞こえてきたけど、なんだ? あの逃げ出したやつら、川を超えて、オーク集落に逃げこんで、そこで争いが起こったのか? まあ、勝手にやってくれ!

その先にも、ゴブリン村があったが、ここは道からは随分離れているから、平気かな?と思ったけど、やっぱ、いるんだよな〜 そんなに村から離れたところまでふらふら見回りかよ? 加重!をかけてやったら、地べたに伏せて潰れてしまった・・・ちょっと強すぎたか?

あとは、気配は無し。

このまま進めば、もう一つのオーク集落が近いけど、川向うだし・・・川を超えてまでは来ないだろ? メリルたちは、認識阻害をかけて進んで来るはずだからな。



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