学生トーク「本屋編」

山田 武

学生トーク「本屋編」



「本屋ねぇ……うん、本屋かぁ……」


「そんなに考えることか? てか、急にどうしたんだよ」


「例の発作がな」


「……ああうん、アレか」


 約一年の時を経て、再び少年が耳にした謎の話題。

 ただ、考えるのは面白いと話の乗って友人のキーワードについて考える。


「とりあえず、本屋と言えば字の如く本を売る店だよな」


「基本的にはな。ほら、文房具を売ってたりする場所もあるだろう?」


「……あー、そういえばたしかに」


「でもそれは文房具店じゃなくて本屋だ、他に売っているモノは別にしても、基本として本を売っている以上は本屋なんだろう」


「………………でも、アレは本屋か?」


 アレ、が意味する内容を瞬時に理解した少年の手は止まる。

 脳裏に浮かぶのは本屋──の姿をまったくしていない、雑貨が多く並ぶ店。


「…………いちおう、本屋だろう? うん、本も売ってるし」


「でもあれ、間違いなく本より雑貨の方が多く売って──」


「いいんだよ、別に! それにほら、向こうは「遊べる本屋」ってのをキーワードにしているらしいぞ! ならそれってつまり、本屋じゃねぇか!」


「………………まあ、いいけどさ」


 友人にスマホで調べた結果を見せ、強引に納得させる。

 自分自身、アレを本屋と一瞬で認識できるか不安だからこそ誤魔化すように叫んだ。


「というかアレだ、図書カードが使えれば広義の意味で全部本屋だ。実際ほら、図書カードは本に使うモノって書いてあるし。そのついでに雑貨やら別の物を買おうと、その辺は気にしなければいい」


「……うわー」


「まあたしかに、電化製品を売っている店とかそういうのもあるけど。その辺は店で分けてくれるところもあるらしいし。本屋、つまり本さえ扱っていれば全部本屋なんだ」


「…………そういうものかぁ」


 そういうものだ、と強く語る少年に対しそういうものかなぁと疑問を隠す友人。

 ただ、深くは考えないことにする……図書カードが使えればいいか、と答えを纏めた。


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