打ち明けた女
桜 高校時代
高校1年の夏。やたらしつこい男が私を口説いてくるようになった。
中川 隼人。顔は良いがやたら軽い性格の男。会う度に口説いてくるから断るのも面倒になったので条件付きで肉体関係を持つと提案した。
学校では関わらない事。
メール以外ではやり取りしない事。
する時は必ずホテル。
ホテル代は中川が払う。
関係を口外しない事。
この条件を提示して、飲めないなら2度と私に関わるなと伝えると中川はアッサリ承諾した。
「体だけの付き合いって気楽でいいよな」
「そうね」
そういう考えの男だからセフレにしようと思ったのよ。私には恋愛は良くわからないけど…性欲は人並み以上にあるみたいだから…定期的に発散させないとストレスが溜まる。
中川とは週に1、2回くらいの関係。ホテル代は気になったけど…中川は毎回ちゃんと払ってくれるから気にしない事にした。
半年も経つと訳のわからない変態的なプレイをしたいとか言ってきたが拒否した。縛られて抱かれるとか意味がわからない。普通にやるより気持ちいいとは思えなかったし…
高校2年の春。中川との関係はまだ続いている。最近、好きだとか言ってくるようになったけど…ただのピロートークだろう。私と中川の間に恋愛感情なんか生まれる訳がない。便利な男だとは思うけど…中川の事は別に好きじゃない。嫌いでもないけどね。
ある日、学校で告白された。同じクラスの岩本 孝則君。去年も私と同じクラスでよく話をしていた。告白された時…私は嬉しかった。…これが…恋愛感情なのかな?
自分の感情を確かめる為に岩本君と付き合う事を決めた。
岩本君と付き合ってからも中川との関係は続けている。
岩本君とはまだそこまでの関係になっていないから…岩本君から求められたら嬉しいけど、自分から求めるのは…何故か嫌だった。
私が岩本君と付き合うようになってから中川からの誘いが増えた気がする。…まあ、いいけど。
「孝則より俺のほうが気持ちいいだろ?」
「岩本君とはまだしてないから比べられないわよ」
「…そうかよ」
攻め方が前よりねちっこい感じがする…まあ、これはこれで気持ちいい。中川が頑張ってくれるから最近はストレスが溜まらなくていい。本当に良いセフレだと思う。
岩本君は凄く優しかった。デートの時もいつも気遣ってくれるし、一緒に勉強している時も丁寧に教えてくれる。本当に私の事を大切にしてくれるのが伝わってくる。
ちょっと気が弱いところはあるけど…私は岩本君のそういうところも好きなんだと思う…
秋。今日も孝則君とデート。今日は動物園に来ている。動物園は動物特有の臭いはするけど…そういう環境だから仕方ないよね。可愛い動物とかも多いし…
「孝則君…私、カバが見たい」
「カバか。あっちみたいだね」
案内板を見ながらいろいろと見た。餌を食べさせたり、ちょっとだけ触らせてもらったり…凄く楽しかったな…
帰りに家まで送ってもらった。家の前で別れる時に…私は孝則君とキスをした。凄く嬉しくて…とても気持ち良かった…
平日に中川に誘われた。中川は帰る時間があまり遅くならないように気を使ってくれるのでとても楽だ。
「孝則とはどこまでいったんだよ?」
「アンタには関係ないでしょ」
中川は今日も頑張って動いてくれる。私はマグロって奴なのかもしれない。…物足りなかった時は自分で動くけど。
中川の口が近付いてくるけど…私はそれを躱した。
「キスはしないって言ったでしょ?」
「あ~…悪い。つい」
キスは孝則君以外とはしたくない。セックスも孝則君が求めてくれるなら…中川とはしなくなると思う。
その日は19時30分くらいに解散した。この時間なら母さんには友達の家で勉強してたとか言えば問題ない。
冬。最近、少し孝則君が素っ気ない気がする。別に喧嘩をしたとかは無いはずだけど…機嫌が悪いというより、何か悩んでいるみたいな感じなのよね…
「孝則君…私でよければ相談して欲しい」
「桜…大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
優しいところは変わらない。なんだろう…男の子特有の悩みとかがあったりするのかな?
中川に誘われたので聞いてみる事にした。
「男の子特有の悩みとかってあるの?」
「…抜け毛とか?」
コイツに聞いたのは間違いだったかもしれない。…いや、中川の悩みが抜け毛なのかも…
「最近、孝則君が素っ気ない気がして…悩みでもあるのかなって」
「…さあね。俺達の関係を知っちゃったとか?」
中川は笑いながら頑張ってるけど…私はその可能性を全く考えていなかった…
「…笑えないから。セフレより孝則君のほうが大事に決まってるでしょ?」
「…そうかよ」
中川はいつも以上に激しかった。凄く気持ち良かったけど…さっきの中川の言葉がまるでトゲのように心に刺さっている気がした…
孝則君にバレてたら…どうしよう…
高校3年の春。今年も孝則君と同じクラス。でも…孝則君はずっと素っ気ない。話しかければ答えてくれるし、優しいところは変わらないけど…キスとかしてくれない。
心当たりは中川との関係くらい。ずっと考えていたけど、本当にそれしか浮かばない。
まだ怪しまれているだけだとは思うけど…中川が話したかもしれない。中川と孝則君は友人らしいし…
中川は便利だったけど…孝則君にこれ以上怪しまれないようにする為には切るしかない。中川を切って孝則君だけを見よう。
中川にメールを送る。自分から送ったのは初めてだ。内容は簡潔に…
今までありがとう。終わりにしましょう
メールを送ってから数分後に中川から返信があった。
わかった
そのメールを最後に私と中川の縁は切れた。学校で話す事もなくなったし、メールのやり取りもしない。私達は他人になった。
夏。孝則君が私をデートに誘ってくれた。凄く嬉しい。行き先はあの動物園。
「桜は何か見たい動物はいる?」
「カバが見たい」
「…好きなんだね」
水の中からちょっとだけ顔を出してるのとか可愛い。ゾウとかも好き。
孝則君と一緒にいろいろと撮影しながら回った。動物園は好き。今度は水族館に行きたいかも…
帰りはまた送ってもらった。帰り際、また孝則君からキスをしてくれた。
「桜。好きだよ」
「私も大好き」
その日は体が火照って鎮めるのは凄く大変だったけどね。バイブにタカノリって名前を付けてシタから凄く良かった。
夏休み。孝則君とプールに来ている。孝則君、痩せマッチョ…とてもいい体をしている。おっと、涎が…
「桜…似合ってるけど…目のやり場に困るな」
普通のビキニとパレオですけど…孝則君には刺激が強すぎたみたい。いやいや、他の女に目移りされても困るし…
「孝則君も格好いいよ。鍛えてるの?」
「中学まで柔道をしてたよ。高校に入ってからはやってないけどね」
柔道…寝技…性欲が発散出来てないから…つい孝則君をそういう目で見ちゃう。今日はタカノリに頑張ってもらわないと…
2人で楽しくプールで遊んだ。自然な流れを装おって胸をグイグイ押し付けたりしたけど…孝則君のガードは固かった。…そろそろ襲ってくれないかな…
その日の夜はタカノリに頑張ってもらった。孝則君は寝技が得意なのか…私にかけてほしい…
秋。もう我慢できません。私…頑張ったよね?
そもそも付き合って1年半でまだプラトニックとかね…手を出してこない孝則君が悪い。だから私から手を出すのが正しい。
「孝則君」
「桜?どうしたの?」
「今日、ウチに来て」
「勉強かな?いいよ」
うん。夜のお勉強だね。合ってるよ。
放課後…私のテリトリーまでノコノコと足を踏み入れた獲物…さあ、どう料理してくれようか…
「さ…桜?」
「孝則君が悪いのよ…?」
先に部屋に上がってもらい、下着姿で入り口を塞ぐ。
「私…ずっと待ってた…でも…手を出してくれないから…」
先日…とうとうタカノリが過労で逝ってしまった。私にはもう…こうするしか…
「い…いいのか?」
「孝則君…お願い…」
理性を解き放った孝則君は凄かった。痩せマッチョ凄い。体力が尋常じゃない。
「孝則君…凄かったよ…」
「桜…まだ大丈夫?」
「ま、まだできるの?」
優しくて激しい孝則君の夜の寝技に私は何度も敗北してしまった。
何度目かわからない行為の後…
「桜…そろそろ勉強しようか」
「…無理です」
お風呂でもしちゃった。…いつの間にか帰ってきていたお母さんに気付かれちゃってたけど…
「もう1人くらい欲しいわね…」
「……妹がいいな」
「お父さんにも…お願いしてね」
「……うん」
その日の夜はお母さんの声が気になったのでイヤホンをして寝た。孝則君のおかげで熟睡できたよ。翌朝、お父さんがかなりやつれてたけどね。
冬。孝則君と同じ大学に合格した。私はかなりギリギリだったけど…孝則君と一緒に勉強したから無事に合格できたよ。
あの日から孝則君と体を重ねているけど…孝則君はたまにしか求めてくれない。
…自分から求めてエッチな子だと思われたくないから…通販でタカノリ2世を買った。
タカノリの遺志を継ぐ証としてマジックでタカノリ2世と書いた。それだけで愛着が湧いた気がする。
タカノリ2世凄い…ごめんね…タカノリ…もうタカノリ2世じゃなきゃダメみたい…
4月からは孝則君と一緒に大学に通う。楽しみだな~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます