藤本

 夏休み中に堕とした美咲は最高の女だった。頭が悪いから扱いやすい。神山なんかじゃ満足させてやれなかったんだろう。このエロい女は飽きるまで俺が使ってやるよ。


 高校3年の時は本当に充実していた。美咲以外にも何人か女はいたが…美咲を抱くのが1番愉しかった。神山に未練があるくせに現実から逃げるように俺に抱かれにくる。ちょっと甘い言葉を囁いてやればすぐに俺に依存するようになった。

 この女も飽きたら捨てるつもりだ。それまで抱ければいい。こんな頭の悪い女に本気になる奴なんか神山くらいじゃねぇか?

 美咲に捨てられた神山の情けない姿を見るのも面白かったな。今にも死にそうな顔をしたアイツと廊下ですれ違った時は爆笑した。神山の近くにいた奴に睨まれたけど関係ない。女を奪う事は犯罪じゃないんだ。悔しかったら奪い返せばいい。神山なんかに奪い返される女なんていらないしな。



 美咲が馬鹿すぎて違う大学に通う事になった。便利な女が近くにいないと不便だ。仕方ない。大学でも新しい女を探せばいいか。高校の頃の女は美咲しかいないしな。

 何人かは堕とせたけど…なんとなく避けられてる気がするな。俺の噂でも流してる奴がいるのかもしれない。捨てた女かモテない男かはわからないが…面倒くせぇな…


 大学でめちゃくちゃいい女を見つけた。気が強そうだけどいい体をしている。顔も俺好みだ。何回か話しかけた。最近は文句を言いながらも話すようになった。ああ…あれか。こうやって俺に構ってもらいたいんだな。可愛い奴だ。


 桑島 環。今狙っている女の名前だ。話しかける度に文句を言ってくるが…ツンデレって奴だろう。こういうタイプはベッドの上だと可愛くおねだりしてくるんだよな…

 ちょっと本気で口説いてみた。この女を抱きたくて仕方ない。恋人もいないのに俺の誘いを断っているのは…焦らしだろう。


 「セフレを何人も作ってる軽い男なんて嫌いなの。近寄らないでくれる?」


 …なるほど。セフレを全て切らないとちゃんと付き合えないって事か。そんなに俺を独占したいのかよ。仕方ない…惚れた弱みだ。セフレを切ってからまた口説くとするか。

 大学で作った女を切った後に美咲を呼び出した。最後に抱いてから別れを告げた。いろいろ文句を言ってたが知った事じゃない。結婚してる訳じゃないんだ。女を捨てる事に文句を言われる筋合いなんかない。

 俺が捨てた女を誰かが拾うかもしれないだろう?そう考えたらリサイクルみたいでエコなんじゃねぇかな。


 

 セフレを全て切った後に桑島を口説いた。邪魔が入るのも面白くなかったからな。大学の空き部屋で二人きりだ。そのままやらせてくれるかもしれないしな。


 「約束通りセフレは全部切ってきたぜ。これで俺と付き合ってくれるんだろう?」


 「はあ?なんで私がアンタと付き合わなきゃいけないの?」


 「あ?お前がそう言ったんだろうが」


 「言ってないわよ。私がアンタと付き合うなんて言う訳ないでしょう。じゃあね。もう話しかけないで」


 そう言って帰ろうとする桑島の腕を掴んでその場に押し倒した。


 「おいおい…ふざけんなよ。いくらお前に本気だからってよ…ここまでやってまだ焦らされたら我慢なんかできねぇよ…」


 「ちょっと!離してよ!」


 「ああ…こういうプレイか。わかった。付き合ってやる」


 桑島の服を力任せに千切るように脱がしていく。…やっぱりいい体してやがる…


 「…っ!最低!離せ!」


 「すぐに良くしてやるよ」


 デカい胸を隠している下着を千切ろうとした時に男が部屋に入ってきた。…どこかで見た事があるな…


 「助けて!」


 「わかった」


 男は桑島に跨がっている俺の顔を蹴りつけてきた。異常に速い蹴りを防ぐ事も出来ずにモロに喰らった。鼻が折れた…鼻から広がる独特な痛みに涙が出る。

 いきなり暴力とか…頭おかしいんじゃねぇのか?


 「お前…ふざけんなよ…」


 鼻血が止まらない。俺の顔が…


 「ふざけているのはお前だ」


 男は上着を桑島にかけると俺のほうに近付いてくる。


 「恋人とやるのが何が悪いんだよ!邪魔しやがって…傷害で訴えてやる!」


 「誰が恋人よ!アンタこそ強姦未遂で訴えてやるから!」


 「とりあえず、学生課に突き出させてもらう…君、そんな格好で申し訳ないけど…連絡してもらっていいかな?俺は藤本を捕まえておくから」


 男は俺を力任せに押さえ付けた。


 「わかった。すぐに呼んでくる」


 桑島はそう言って部屋を出ていった。


 「…お前…なんなんだよ…」


 「………」


 どこかで見た男…同じ高校か?……ああ…コイツは…


 「お前…神山のダチか?」


 「…ああ」


 「神山の敵討ちのつもりかよ。ふざけやがって…絶対に許さねぇからな」


 「幸司の事は関係無い。お前がやろうとしていた事は犯罪だ」


 「ハッ…犯罪な訳無いだろうが。そういうプレイだっての」


 「…憐れな奴だな」


 俺はその後、大学の警備員に連れていかれた。桑島とあの男のせいで大学は追い出されちまったよ。仕方ないから家に昔の女でも呼び出そうとすると警察が来た。強姦だの脅迫だので何人かの女が被害届けを出したとか…

 ふざけんなよ。女共は俺に抱かれたがってたから抱いただけだ。なんで俺が捕まらなきゃいけないんだ?おかしいだろうが!

 

 俺の主張は意味がなかったらしい。結局…逮捕された。俺は女共に利用されて裏切られたんだ…被害者なんだ…どれだけ言っても誰も聞いてくれなかった。

 鼻を治療してもらったが…前と比べて潰れている気がする。ヤブ医者に治療させるんじゃねぇよ…元に戻すのが医者の仕事だろうが…


 4年後…俺はようやく出所できた。両親は俺を見捨てたようだ。出所した時に迎えにも来なかったし…実家に帰っても追い出された。なんて親だ…冤罪で捕まった俺を見捨てるなんて…

 何とか雇ってもらった近くの工場で働きながら金を貯めている。家賃とか光熱費で半分くらい無くなる。食費を節約しても残るのはごく僅か。早く金を貯めてこんな最低なところから離れたい。

 たまに視線を感じる事がある。怖い。また誰かが俺を嵌めようとしているのかもしれない。

 3年かけて金を貯めて地元を離れた。新しい土地では誰も俺の事を気にしたりしない。

 仕事先を探すのは苦労した。俺は嵌められて前科持ちにされてしまったからだ。それでも雇ってくれる会社を見つけて細々と暮らしている。

 ああ…普通に暮らせるって…幸せだなぁ…

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