レベル9
第57話 配達
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さて、蓬国に来てから最初の依頼をこなしていこう!
蓬国は貿易の国。
依頼内容も流通に関係している案件が多く、宅配業者として遣わされる事が多い。けど、依頼主が大手の商会ばかりなので、荷物運びだけでも報酬は良かったりする。
美嗣はいくつか運びの仕事を受けて、依頼元へ伺う。最初は桃州から李州への鉱石と衣服の配達だ。かなりの量になるし、蓬国は広大で州を端から端まで行くのに歩いて半日はかかる。
桃州から李州までは1日半かかるかもしれない。そこで馬車の出番である!運べる荷物量も増やせるし、馬で快適に進める。
マイ馬車買っておいて良かったぜ!
蓬国は五つの州に分かれている。北から「李州」、北西の「杏州」、南西の「
南東の桃州から北の李州までは直線距離なら5キロメートルといった所だ。
だが、蓬国の中心にある飛天山と直径2キロメートルの森は『仙境』と呼ばれる不可侵領域である。俗人の立ち入りは禁止されているので、大回りをせざるを得ない。
荷物を積んで先ずは栗州へ向かう。道中に段々畑の田園や竹林などの風光明媚な景色を楽しむ。暇があったら筍狩りをして、ピクニックを楽しみたい。
李州は工芸の街と呼ばれている。
スヴァーシから入ってくる玉や鉱石を加工して、一級の装飾品を造り上げる。だが、近年ではスヴァーシとの国交が断たれてしまい、生産量が激減したがバラル帝国やスーガ連合国から別の鉱石を仕入れて、なんとか製造を続けている。
美嗣達が運んできた荷もほとんどが原石で、積み下ろしにも体力がいる。でも、いい働き口だからしばらくは続けたい。
李州へ行ったら装飾品を一つ買い身に付けると、運気が上がると言われている。店先に並ぶ髪飾りや耳飾りを見て、
金がなかった!
散財していた事を忘れていた美嗣は購入を断念。蓬国を去る前に絶対買おうと決心する。李州から今度は杏州へ向かおうと荷を積んでいると、地震が起きた。
ドスン、ドスンと2度ほど地面が揺れそれ以降揺れは起きない。余震もないし妙な揺れだなと思っていると、周囲の人々が険しい顔で北の空を見ていた。
「また、地響きか」
「近いか?」
「いや、遠いな……。距離はあるだろう」
道を歩いている者、食事をしている者、商売をしている者。みんなが手を止めて顔を曇らせ、遥か向こうの様子を案じていた。先程のはただの地響きではなかったのだろう。
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