【完】駆け出し配信者でいじめられっ子だった僕が勇気を出して女の子を助けたら大人気美少女VTuberに溺愛される話
菊池 快晴@書籍化進行中
次々と現れる美少女たち
勇気を出して女の子を助けた
「キモ」
「お前、何で生きてんの?」
「消えろよ、近寄ってくんな」
高校一年生になってすぐ、僕は理不尽ないじめをうけた。
喋るのは確かに苦手だったけど、それでも友達を作ろうと頑張っていた。
けど、何かが気に障ったらしい。
そこから引き籠りになって、家から出なくなった。
留年は嫌だけど、戻るのがつらい。
家族との会話もあんまりない。
だけどパソコンだけはあるから、暇になることはなかった。
あまりにもやることがなかったので、ブイチューバーをやってみた。
昔から大好きな配信者さんの真似だったけど、次第に一人、また一人と登録者が増えていく。
今は10人だが、皆毎回コメントをくれるし、最後まで見てくれる。
『今日の配信も楽しかったです! また明日もお願いします!』
『終わっちゃうのかあ……。アーカイブでまた見直そう……』
『youくん、誕生日はいつなんですか?』
youとは、僕のゲーム配信の名前だ。
ちなみに本名は
性別はわからないし、誰なのかもわからないけど、皆優しいいい人だ。
なんとなく来週誕生日だー打ち込むと、皆が驚いていた。
今日も楽しかった……。
嬉しくてご飯も食べずに寝た。
◇
朝目が覚めると配信をした。
顔だしはしてないけど、ゲーム実況や雑談だ。
今は二十人ほどで、皆結構熱心にコメントをくれるので、話題にこまらない。
ゲームして寝て、ゲームして寝て、気づけば誕生日を迎えていた。
そして、いつもは来ない妹がやってきた。
どたどたと階段の足音を立てながら。
「お兄ちゃん、なんかいっぱい箱が来てるんだけど」
「え?」
下へ行くと、それは頼まれて貼ったほしい物リストのゲームやお菓子だった。
手紙が添えられていて、丸文字で可愛い文字。
『いつも配信楽しいです! 生きる力になってます!』
『わたしもいじめられてたけど、いつも元気もらってます!』
『ゲーム配信も雑談も、毎日最高です!』
嬉しかった。認められた気がした。
雑談でたまにいじめの話をするけど、皆も辛い人が多いらしい。
その中でも一番熱烈なファンがいて、いつもコメントを一番くれる。
なんだか勇気をもらえた。
「よし……僕も変わりたい」
それから猛勉強し、数週間後、久しぶりに高校へ行った。
補修を受けさせてもらい、いい点数だったら留年は免れるらしい。
たぶん、大丈夫な気がする。
その帰り道、電車でひときわ目立つ女の子がいた。
おそらく僕と同じくらいの年齢だ。
電車内は混雑しているけど、目を奪われるほど綺麗だった。
黒髪ロングで、華奢だけど、それがまた女の子らしい。
でもなんか、様子が?
よく見ると、横にいるおじさんが、もぞもぞと動いている。
女の子は離れようとしていた。
あれは――痴漢だ。
止めたい、止めてあげたい。でも、間違っていたらどうしようと頭に過る。
だけど、やっぱり見過ごせなかった。
勇気を出して、おじさんの手を掴む。
「止めろ、嫌がってるだろ」
「な、なにをする!?」
それから周りの大人たちがザワザワしはじめて、僕の話を聞いてくれた。
おじさんは次の駅で連れて行かれ、僕と女の子は事情を伝えるため、駅員について行った。
怖かったけど、勇気を出してよかった。
警察にも色々話したりして全てが終わったのは夜だった。
こんなに人と話したのは久しぶりだ……疲れた……。
帰り道、女の子がお礼を言ってくれた。
「本当にありがとうございます」
「お礼なんて……」
「私……恥ずかしくて、それに怖くて……」
「僕もです。でも、良かったです」
恥ずかしくて頬を欠いた。
また改めてお礼をしたいと言われ連絡先を答えたけど、話すことなんてあるのだろうか。
ちなみに名前は、
自宅に帰って部屋に入る。
配信をするかどうか悩んだけど、流石に疲れてたので大好きなブイチューバーさんを見るためにパソコンの電源をつける。
名前は「Angel」。英語で天使という意味だ。
登録者数は100万人を超えている。
アバターは黒髪ロングで、軽快な喋り方とたまの毒舌が可愛い。
今日は雑談だけだった。
その時、びっくりすることを言った。
「リアルのことは普段語らないんだけど、今日めっちゃ嬉しいことあったから言っていい?」
『きになる!』
『まさか彼氏!? だとしたら聞きたくない!』
「今日、電車に乗ってたんだけど、帰り道に痴漢されちゃって……。でも、男の子が助けてくれたんだよね。それなのに謙遜して、すごく恰好良くて」
『えー! やだやだ!』
『もしかして惚れた?』
コメントがざわつく。
「今度デートに誘ってみようかな~? なんて、嘘だけどね!」
もしかして……いや、さすがにありえないか。
だけどその瞬間、メッセージが飛んできた。
今日、助けた女の子からだ。
『あ……あの、もしよかったら、お礼したいので、今度一緒にご飯でも行きませんか?』
さすがに偶然だよね?
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