もしも同級生と異世界転移したら
「まさかあたしたちが異世界に転移しちゃうとはね……」
さすがの豪胆な女子高生も生まれて初めての経験に、困ったように苦笑する。
「ああ、早いところ魔王を倒して元の世界へ帰らないとな」
「だけど、よりによってなんでこの職業なんだろう」
そう言いながら夏凪は、身に纏っている踊り子の衣装を見て顔をわずかに赤らめる。
「確かに露出は多めだな」
「見るなっ、倍殺しっ! ……てか露出多めなのは君塚の方じゃない?」
「誰の頭が露出多めだ!」
俺のこの世界での職業は、僧侶。なぜかそれに合わせて俺の頭はスキンヘッドに変わっていた。異世界、理不尽過ぎるだろ。
「とにかく魔王を倒すには仲間を集めないとな」
「あたしたちのパーティーに入りたい人なんているのかな? 一人はハゲだし」
「ハゲ関係ないだろ。とりあえずは金を稼いでそれを餌に仲間を集めよう」
あとはどうやってこの世界で金を稼ぐかが問題だが。
「な、なに? なんでそんな見てくるの?」
ビキニにパレオを巻いた夏凪が自分の身体を抱く。
「まさかあたしを使う気!? 下卑た笑いを浮かべる男たちを前にこの格好で踊らせて、あたしに辱めを受けさせることでお金を……」
「なんでいつもお前は思考がそっちのベクトルに向かうんだ」
そうじゃなくて、と俺は夏凪に言い聞かせる。
「ここでも協力し合おうって話だ。どの世界に行こうとも俺とお前の関係性は変わらない。まずは田畑でも耕すか? それぐらい僧侶と踊り子でもできるだろう」
「……そっか。うん、そうだね」
夏凪は頷くと、納得したように薄く微笑んだのだった。
「へへ、いつの間にかそのまま二人仲良くこの世界で暮らすことになったりね?」
「や、それはない」
「なんでいつも最後の最後で突き放すの!」
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