第4話

 横島は不貞腐れている。この男が不快そうにしているのを見るのは珍しい。

 私は不思議な高揚感を覚えている。

 ずっとイライラの原因だった横島がやり込められてスカッとした、いわゆる「ざまぁ」というのも無いわけではないのだが。

 あの怒っている時の雨宮先生は、怖いけれどカッコよかった。

 あんな風に、おこれる人なんだ。

 か弱い花のような見た目に、強い芯のある人なんだ。

 怒っている姿を「素敵」と思った。

 言葉にすると変かもしれないけれど、横島に対して怒った時の雨宮先生は凛としてて、私は惹かれてしまっていた。

 もっと雨宮先生を知りたい。

 早く次の国語の授業が来ないかな。

 でも次の国語の授業、雨宮先生まだ怒ってるのかな。

 怒ってる姿も『素敵』と言ったけれど、やっぱり雨宮先生は笑っててほしいな。

 もう、うちのクラスでは優しく授業してくれないのかな。

 ここまで思いを巡らせたところで、元凶である左隣の男がまた腹立たしくなってしまった。

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