第79話

 低く甘い声が耳元で囁いて、耳たぶを唇で挟まれた。

「…っ、あん…っ」

 そしてそのまま耳をちろちろと舐められる。

 心臓がますますドキドキ鳴って息が苦しい。

「イッちゃうほど気持ちよかったとこ、かな?」

 訊きながら、ギリギリのところを触るの、ひどい。

「や…っだっ、りっくんっ、いじわる…っしない、で…っ」

 涙が滲んでりっくんがぼやけて見える。

「…すっげ…」

 呟いたりっくんの喉仏が上下した。


「分かった…から、ちょっと待って、空」

 指が抜かれて、半端な身体が切なく疼いた。

 どれぐらい待ったらいいの…?

 荒い息を吐きながら、僕に覆い被さってるりっくんを見た。

 りっくんがジーンズのポケットを探ってる。


 きつそう…、前…

 開けちゃえばいいのに、ジッパー


 無意識に手を伸ばして、りっくんのジーンズのボタンを両手で外した。

「…空…?」

 りっくんの驚いたような声が聞こえた。

 スライダーを指で摘んで、ゆっくりと下ろしていくと、中から黒のボクサーパンツがりっくんの形に膨らんで出てきた。


 おっきい…

 こんなの、が…


「…なるべくゆっくりするから、痛かったら言って、な?」

 目を上げたら、りっくんが小さな包みを破いてた。

「…それ…」

「もしかして、万が一、抱けたらなーって思って。ローションはすっかり抜けてたけど」

 ぺろっと舌を出して、いたずらっ子みたいに笑って言ったりっくんが、ボクサーパンツに手をかけた。


 あ、

 やっぱりすごい…


 身体の奥がじわっと熱くなった。


「あ、あの…りっくん」

「ん?」

「それ…、どやって着けるの?」

 りっくんを上目に見ながら訊いたら、りっくんが「うわっ」って顔をした。

「…やってみる?って言いたいとこだけど、ダメ。今、空に触られたらすぐ出る」

 今度ね、って言ってサッと自分で着けてしまった。


 脚を大きく開かされて、腰を少し持ち上げられた。

「やだ…っ、みないで…っ」

 手を伸ばしても隠せない。

 勃ってる性器もひくひくしてる入り口も、すごい恥ずかしい。

 見ないでって言ってるのにりっくんはじっと見てる。

「…ちょっと俺、頭おかしくなりそう…」

 唇を舐めながら、僕をちらりと流し見たりっくんの目がギラっと光った。


「あ…っ、あ、あ…あっ」

 入り口をぬるぬると動く、丸くて硬いりっくんの感触。

 それだけで僕の先端からは、たらたらと先走りが流れ出してる。

 腰をしっかり掴まれて、ゆっくりとりっくんが入ってきた。


「…あ、あ、あ…っ」

「だいじょぶ?空。痛い?」

 必死で頭を横に振る。痛くはない。ただ…、

 すっごい広げられてる感じ、する。

 

 身体が熱くて汗が滲んできた。

 りっくんが、ゆっくりゆっくり圧をかけながら入ってくる。

「あ…っ」

「…ここ、だよな?さっきのとこ」

 うん、うんって頷いて応えた。でもりっくんはあんまり動いてくれない。

「…空、まだ、動くの早い…」

「だ…ってっ」

 うずうず動く腰を強く掴まれた。りっくんがさらに奥まで入ってくるのが分かる。

「…ど…こまで…くるの…?」

「…もちょっとで全部…、うっわ、やば…、きもちい…っ」

「あ…や…っ」


 奥、奥の方、なんか当たってるっ

 りっくんが僕をぎゅうって抱きしめた。

「あ、あ、あ…っ」

 密着したらもっと入ってくる…っ

 

 どうしよう どうしよう…っ

 …すっごい…気持ちいいっ


 りっくんが僕の身体の中にいる。

 薄いゴム一枚隔てただけで、大好きな人と、これ以上ないほどくっついてる。


 りっくんがゆっくり身体を起こしながら僕を見下ろした。

 動くと身体が繋がってるの、すごい分かる。

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