三之扉(さんのとびら)
トビラの向こうへ足を掛けると、
花の香りが、わたしを包んだ。
こんにちは。
ねぇ、白ウサギは、どこ?
さぁ、知らない。
お城へ行ったのかもね。
そうだ。お城だ!
むせ返る花の香りが、
わたしの鼻孔に纏わり付いて。
お城へ行きたければ、行けばいいのニャ~
怪しげな尻尾が、わたしの頬をくすぐった。
さぁ、どうぞ。
目の前に、小さなトビラ。
「いた!」
見付けた、白ウサギ!
差し伸べた手に、何かが、触れた。
痛たっ!
目を閉じた瞬間、ぐらりと揺れた。
足下が、ふわりと なくなった。
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