烈火
ハナミ
第1話残り香
車に残る残り香
毎回座る度に違う位置
気の所為
気の所為
ある日彼の机の引き出しをあけて
目の前が真っ赤に
燃えるように
花嫁姿の女性
彼女は
彼の部下
私はお腹の中に彼の子供がいた
突然痛くなるお腹
烈火の焔が
私を侵略していく
殊更丁寧に
毎日家事をする
そして
何故か
彼の財布が光って見えた
中には
お互いに結婚していながら
不定の子を妊娠していたと
許せない
スーと
子供に対する関心が消える
震えるような
怒りが消えない
ふとね
彼のために
節約して
美味しいご飯を作っていたのが
バカみたい
お腹はキリキリ痛む
あまりの痛さに
トイレに駆け込む
流産
あー
あー私は何をしていた?
与えるだけの夫婦なんて
バカバカしい
彼のために
好きだったオシャレもやめる必要なんか無かった
彼は私が流産した日も
残り香
あらって
彼はとても天然のジゴロだ
目に涙を浮かべて
手を握る
私も伏し目がちに
ごめんね
と
彼は安心したと
私は母親になるのは早いから心配だったと
そう
夜叉が宿った
まず
彼からは
慰謝料と
残り香からも
彼は別れてからも毎日電話する
私は彼に異性を愛する心を壊された
烈火のごとく
毒々しい可憐な甘い匂いを纏わせ
触れば
棘
何人もの異性を
チェスの駒のように
愛?
知らないけど
春夏秋冬
の中で牡丹の散り際が好きだ
ポトリと落ちる
どれだけ
愛情をもらっても
ペラペラで
ふぅーと
吐息で吹き飛ぶ感じ
苛烈に怒りを覚えるのは
愛人やら
今の彼女と別れるから
燃えあがるようないかり
飲めないお酒が飲めるように
はて
愛とは
綺麗に着飾り
巧みな
罠を仕掛ける
女郎蜘蛛かしら
ドスっと
誰かの烈火
常に燃えあがる烈火
気がついたら
刺した女性に
にっこり
違うわよ
あなたはまだ誰かを愛する気持ちを持っているのね
素敵な事
ハンカチもってる?
優しく微笑む
烈火のような怒りが収まらない
こんなに好きにさせておいて
もう一度にっこり
ハンカチ
彼女はおずおずと
私は首筋の頸動脈にあてて
私がこれをひいたら
あなたは
大きな声と
救急車ね
きちんと
私が
烈火でなくなったのを確認してね
あなたは
まだ人を愛せるわ
冬の寒空
私は力いっぱい
包丁で頸動脈を切った
眠くなる意識の中
牡丹がポトリと落ちた
あー
私には赤ちゃんが待ってる
やっと思い出した
烈火
烈火は母性だったのかも
烈火 ハナミ @muneta
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