遅い、

遅い、遅すぎる。

もう日付が変わるというのに彼女はまだ帰ってきていない。

もう何分この寒い玄関でこのくらい携帯の画面を見つめているのだろうか。

俺は心のなかでイラつきながら彼女とのトーク画面を開く。

そのトーク画面は右側だけが埋まっている。その吹き出しの横に既読の文字はひとつもない。


え、なんで。なんで5分以内に既読はつける。って約束したのに、位置情報も消えている。絶対消さないって約束した。なんで、なんでこんなにも破るの。また重いって思われた?彼女は大丈夫だと思っていたのに。俺はまた捨てられるの?またひとりなの。やっぱり本気で愛してくれる人はいないのか。


そんな不安と焦りと絶望にかられて下を向いているとき静かな俺がいる家に鍵が開く音が響いた。

自分の家なのかどうなのかすらもわからないが俺は顔を上げた。

「ただいま。ごめんなさい、携帯充電きれちゃって、」

俺は彼女が話し終える前に抱きついた。

俺は彼女の温もりを存分に感じた。しかし日頃彼女からしないはずの香りが微かにした。

俺の不安がまた出てきた。

彼女から離れて彼女の顔を見る。

「どうしたの?」

なんて彼女は少し笑っている。

「俺から離れない?俺のこと捨てない?ひとりにしない?この匂いは誰?ねぇ、どうしたら俺のものになる?」

自分でも分かっているこんなこと言うなんて重いって。まえの彼女たちは約束をした時点で重いと言われて振られた。だけど彼女は違った。だから彼女ならと思って時々こんなことを言ってしまう。

「大丈夫だよ。私は貴方から離れない。離れたくない。匂いはごめんね。たぶん飲み会で話した女の子の匂いだと思う。本当にごめんね。今日は好きにしていいから」

俺はそんなことを言う彼女に安心したのかなんなのかわからないが彼女を壁に当てつけ彼女の頬を両手で包み込んで彼女に

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