花と右京と思惑と

「ックショッ!」沙希とマリアは2人同時にくしゃみをした。

「なぁに?2人共、風邪でも引いたの?」鈴音は聞く。

「昨日、あんまり寝られなかったのよね。妙に胸騒ぎがして...。」沙希は言う。

「わたしもでーす。」マリアも言う。

「2人同時になんて、虫の知らせじゃない?華月と綾乃さんに何かあったりして?」慎司はニヤニヤと2人を見る。沙希はキッと慎司を睨む。マリアは慎司の言った事がわからず、沙希の袖を引っ張る。沙希が通訳すると、マリアは冷たい視線を慎司に浴びせ、慎司の腹に肘を喰らわす。

「痛っ!」慎司は身体をくの字にする。

「マリア、打っちゃっいなさい。」沙希は言う。

「イエス!」マリアは懐に手を入れる。

「ちょ、ちょっと、人が少ないとはいえ、電車の中よ!」鈴音は慌てて止めに入る。慎司達は修学旅行の集合場所である、東京駅を目指していた。時刻は5:50。

「電車じゃなきゃ、打っちゃっていいんだ...。」慎司は落ち込む。

「そ、そういう訳じゃなくて!」鈴音はこれまた慌ててフォローする。

「な〜んかイライラするのよね...。」沙希は言うとマリアも相槌を打つ。

「綾乃さんと2人っきりで丸2日。電話の1つも寄越さないなんて、考えられないわ!」沙希は怒っている。マリアは沙希の言葉にウンウンと頷く。

「電話なら、毎日かかって来てたよ。」慎司は言う。

「何で?しんちゃんにかけて、私にかけないのよ!」沙希も慎司に肘打ちする。

「痛いって!」慎司はまたも身体をくの字にする。

「もう!止めなって!」鈴音は止めに入る。

「鈴音、アンタ、完っ全にしんちゃんに乗り換えたわね。」沙希は含み笑いで鈴音を見る。

「そ、そう言う事言わないの!」鈴音は沙希にむくれる。でもその顔は満更でもない。

「アハハっ!ゴメンゴメン。鈴音を見るとつい。」沙希は笑う。

「ねぇ?鈴音ちゃん、俺らってイジられキャラが定着しつつあるよね?」慎司は鈴音に耳打ちする。

「それは由々しき問題ね...。」鈴音も慎司に言う。2人は落ち込む。

「お似合いで〜す♪」マリアは言うと2人にキスをする。和気藹々と東京駅を目指すのであった。


「右京様、おはようございます。」配下の人狼族の1人は言う。

「おはよう。実に清々しい朝だね。こんな日はきっと良い知らせが入る。良い知らせだよね?」右京は配下に言う。

「昨日の内に、西の地の全花屋、及び花農家、宅配業者に手配完了しております。」配下は頭を下げる。

「素晴らしい!実に良い知らせだ!それにしてもよくぞこの短期間で...。君、名前は?」右京は配下の人狼族に聞く。

「近衛 雅(このえ みやび)と申します。」配下の人狼族は答える。

「その名の通り、良い働きをしてくれそうだ。よし、今日から君が私の秘書だ。」右京は雅に言う。

「ははっ!ありがたき幸せ。」雅は頭を下げる。

「美月がいなくなって、どうするか?と思っていたが、私の配下にも有能な者がいるじゃないか。」右京は笑う。

「右京様、諜報部よりのご報告もございます。」雅は右京に言う。右京の配下の人狼族は幾つかの部署に分かれており、諜報部を始め、広報部、総務部、財務部等、様々な活動を専門とする部を作成していた。コレは美月が把握し易い様に始めた事だが、組織としての機能は、そこらの会社より遥かに高い水準を誇っていた。右京に仕える人狼族全配下の数は100人を下らない。

「何です?」右京は聞く。

「昨日、大江山に如月華月、西園寺様が現れていると報告がございました。」雅は言う。

「雅と言ったね。君、本当にわかっているねぇ。」右京は満面の笑みを浮かべる。

「何をでございましょう?」雅にはわからない。

「今の報告、如月華月は呼び捨て、綾乃さんには西園寺様と敬意を表したところだよ。」右京は満足そうに笑う。

「あ、ありがとうございます。」雅は少し困惑した。

「大江山ね、玉藻前か...。引退したババァと幼児と蜘蛛女に何か出来るとは思わんが、念の為、始末しておくか。」右京は言う。

「すぐに手配いたしますか?」雅は聞く。

「...いやお待ちなさい。少し泳がせましょう。今日、東の統治者もこの西の地に降り立つ。あの小僧の動きも気になりますしねぇ。」右京は考える。

(如月の鬼は美月に任せろと言っていたな。とすると私の相手は東の白狼の小僧1人か。楽勝だな。あの生意気な如月の小僧は私の手で葬りたかったが、いや、待てよ。2日後の品評会で恥をかかせてから、大江山に呼び寄せて、戦闘の混乱に乗じて如月も、白狼も、美月も、玉藻前も紅蓮で薙ぎ払ってしまうか。完璧だ。)自然と笑みが溢れる。

「私に考えがあります。2日後に決戦の舞台といたしましょうか...それまでは手出し無用!」右京は言う。

「はい。わかりました。動きがございましたら、ご報告いたします。」雅は答える。

「君は本当に優秀だねぇ。よし、そんな雅に問題だ。私が何よりも優先して欲しい報告事項がある。それは何か?」右京は雅に聞く。

「西園寺様の動向でございますね。」雅は間髪入れずに答える。

「...パーフェクト!素晴らしい!」右京は雅という配下に今まで気づかなかった事に疑問を感じる事もなく褒める。それもそのはず、雅は総務部で今まで、秘書だった美月の動向をよくわかっていたからだ。だが、そうさせていたのは他ならぬ美月。美月は自分が右京から離れる事もその後の事も想定して、その様に糸引きしていた。

「実にいい1日の始まりだ。」右京は意気揚々と身支度をするのであった。


「華月様、おはようございます。」綾乃は身支度を終え、華月のベッドに腰掛けると華月を起こす。華月はゆっくりと身体を起こす。

「...。おはようございます...。」華月は眠そうに言う。

「本日は品評会でお使いになる、華を見に参りましょう。夜は慎司様達と合流し、今までの経緯と共に、今後の動きについて作戦会議と参りましょう。」綾乃はいつもと変わらぬ様子で言う。

「あぁ。わかった。」華月は綾乃に言う。2人の唇は自然に重なる。

「朝ご飯はどうされますか?」綾乃は華月に聞く。

「農家の朝は早い。すぐに支度をして出よう。コンビニ飯でいい。」華月は綾乃に言う。

「承知いたしました。」綾乃は微笑む。華月は身支度を始める。華月の胸にあった、昨夕までの胸の高揚感は消えていた。それと同時に胸の奥底に燻っていた炎も治っていた。華月は身支度を終え、綾乃に声をかける。

「綾乃さん...。」綾乃はそんな華月をいつも通り優しく微笑みながら、見つめる。

「何でございましょう?」綾乃は華月に聞く。

「これからも、ずっと側にいてくれ...。」華月は綾乃を抱きしめる。

「はい。華月様が綾乃に飽きるまで綾乃はお側におります。」綾乃は言う。

「そんな事はない。」華月は言う。華月はもう一度綾乃に口づけをした。2人は唇を離すと手を取りあって、部屋を後にした。


京都府、長老ケ岳の麓にある花農家に華月達は来ていた。花農家を営む田中 大吾郎(たなか だいごろう)は見学させて欲しいという2人組を快く迎え入れた。

「これは牛糞ですか?」華月は畑の肥料と思われる物を指差して聞く。

「若いのにようわかりましたな。自然の物で育てるのが1番えぇ。手間暇かけた分だけ、綺麗に咲いてくれる。」ネットを被せて虫を遮り、日光を遮らずに育てるのだと大吾郎は笑顔で言う。

「実は、2日後に京都タワーの広間で行われる、日本華道連盟の品評会で活ける華を探しておりまして、是非こちらの華を活けさせていただけませんか?」華月は大吾郎に言う。

「持っていきなさい。アンタの様な人に活けられるなら、華も本望じゃろう。」大吾郎は笑顔で言う。

「おとうさ〜ん!」遠くから、大吾郎を呼ぶ声がする。娘と思われる女性が駆け寄ってくる。

「はぁ、はぁ。すみません。花をお求めですか?」女性は華月に聞く。

「はい。是非こちらで育てられた華をいただきたいと思います。」華月は言う。

「失礼ですが、お名前を伺っても良いですか?」女性は華月に聞く。

「如月華月と申します。」華月は頭を下げる。

「如月...。大変申し訳ございません。ウチの花はお売り出来ません。」女性は言う。

「何を言うとる。この人に失礼じゃろう!」大吾郎は娘に言う。

「でも、右京様が如月を名乗る者が花を求めに来たら、売るなって言っているみたいよ。売ったら、この地で商売出来ないって。」娘は大吾郎に言う。華月と綾乃は顔を見合わせる。

「あんなバカ者の言う事等、聞く必要はない!儂はこの人が気に入ったんじゃ。」大吾郎は言う。

「じゃあ、お父さんはウチが路頭に迷ってもいいって言うのね?」娘は大吾郎に言う。

「そう言う事を言っているんじゃない!」大吾郎は憤慨する。

「とにかくお売り出来ません。ウチも右京様を敵に回すと商売出来ませんので。」娘は華月達に言う。

「馬鹿者!商売などどうでも良いわ!」大吾郎は娘を怒鳴りつける。

「どうでもいいって事ないでしょ!商売が成り立たなきゃ、ウチはどうやって生きていくのよ!」親子喧嘩を止めに入ったのは、華月であった。

「もうおやめ下さい。申し訳ありません。私のせいで。親子で喧嘩をする等、これ程悲しい事はございません。どうか、御二方共、お納め下さい。」華月は頭を下げる。

「大吾郎さん、あなたの華は生き生きとされている。良いものを見学させていただきありがとうございました。失礼いたします。」華月はそう言うと、その場を後にする。


「華月様。私が右京に話をつけます。」車に戻った綾乃は華月に言う。

「...。いや、大丈夫だ。」華月は綾乃に言う。

「ですが!コレはあまりにも!」綾乃の言葉に華月は首を横に振る。

「何か仕掛けてくるとは思っていました。右京がどんな指示を飛ばしたのか、調べていただけませんか?」華月は笑みを浮かべたまま綾乃に言う。

「...承知いたしました。」綾乃は右京の卑劣なやり方に憤りを感じていた。

「どれくらいで調べられますか?」華月は綾乃に聞く。

「1時間もかからないかと思います。」綾乃は答える。

「そうですか...。一旦、ホテルに戻りましょう。」華月は言う。

「わかりました。」綾乃は答える。

「綾乃さん、すみません。少し後ろの席で休んでも良いですか?」華月は言う。

「勿論でございます。ご気分優れませんか?」綾乃は心配しながら言う。

「あぁ、いや、身体は何ともないんですけど、こっちに来てから、あんまり寝れてないので。」華月は申し訳なさそうに言う。

「そう...でございますね。」綾乃は思い出す様に言う。

「どうぞお休みになって下さいませ。」

「ありがとうございます。」華月は後ろの席に行くと座席をフラットに倒して横になった。綾乃は車を走らせた。


「右京様、如月華月と西園寺様が田中 大吾郎の経営する花農家に現れた様です。娘より連絡がございました。」雅は右京に報告する。

「そうですか。あの農家の花に目をつけるとは、花を見る目はある様ですね。それで?」右京は雅に聞く。

「主の大吾郎が花を分け与えるところを、娘が止めた様です。2人はあきらめてその場を去ったとの事です。」雅は言う。

「そうですか。娘さんに謝礼を送っておきなさい。」右京はニンマリ笑いながら言う。

「承知いたしました。」雅はその場を後にする。

(この西の地で手に入る花はないぞ。西園寺さん、早く私に連絡を寄越しなさい。あなた次第ですよ。)右京は笑った。


華月と綾乃はホテルに帰ってきていた。

「運転お疲れ様でした。」華月は綾乃に言う。

「いえ。先程の件、すぐにお調べいたします。」綾乃は華月に真顔で言う。どうしても、右京のした事が許せず、綾乃は笑う気になれなかった。

「慌てなくても良いです。俺は少し鴨川沿いを散策して来ます。」華月は綾乃に言う。

「承知いたしました。くれぐれもお気をつけ下さいませ。」綾乃は華月に言う。部屋を出る華月を見送った後、綾乃はパソコンを開いた。片手にスマホを持つと右京に電話する。右京はすぐに出た。

「連絡お待ちしておりましたよ。」右京は言う。

「副会長ともあろう御方が、随分と姑息な真似をなさいますね。」綾乃は皮肉たっぷりに言う。起動の終わったパソコンを綾乃は空いている右手で打ち出す。

「西園寺さん、あなたにはわかっているはずだ。私の気持ちをいつまでも受け入れて下さらない、あなたのせいでもあるんですよ。わたしはね、どんな事をしてでも、あなたが欲しい。あなたを想うあまりの行動ですよ。」右京は言う。

「私にどうしろと?」綾乃は右京に言う。

「まぁまぁ。そう構えずに。今晩食事でもいかがですか?」右京は綾乃に言う。

「お断りいたします。」綾乃はキッパリと言う。SNSの書き込みに客が花屋で名前を執拗に聞かれた事、花農家の納品先をしつこく聞いてきた者がいた事等が書きこみされていた。更に綾乃は片手で打ち出す。

「おやおやお立場がわかっていらっしゃらない?」右京は笑いながら言う。

「わたくしは身も心も華月様に捧げております。あなたの入り込む余地は1ミリたりともございません。」綾乃は言う。

「...。あなた次第で花を用意する事も可能なのですよ。」右京は言う。

「...あなたは何か勘違いをなさっておりますね。わたくしがあなたにお電話いたしましたのは、忠告の為です。わたくしは華月様に降りかかる火の粉はどんな事をしてでも取り除きます。例え、お相手のお命に関わる事になろうとも...。」綾乃はパソコンを閉じた。右京の指示内容の概要がわかったからだ。

「...全く、その頑固さは変わりませんね。だからこそ落としがいがある。」右京は電話の向こうで舌舐めずりしながら言う。

「どんなにわたくしや、華月様を揺さぶろうとも、わたくし達はあなたに屈する事はございません。花はわたくしが東の地に取りに行けば済む話です。」綾乃は言う。

「流石は西園寺さん!もうおわかりになられた?いやはや、素晴らしい!あなたのそう言う所も私があなたに想いを寄せる理由の1つなのですよ。」右京は綾乃を称賛する。

「...。」綾乃は答えない。

「あなたが東の地に赴いている間に、あなたの主君に何事もなければ良いですがね...。今は確か、鴨川散策でしたか?」右京は笑いながら言う。綾乃は右京の言葉を聞いてハッとする。すぐに部屋中の至る所を調べる。洗面台の下に盗聴器が仕掛けられていた。綾乃は右京に対して憤りを感じていた為、部屋の変化に気づかなかった。今、冷静になり部屋を見渡すと、荷物が物色された形跡がある。一見、動いていない様に見えるが、朝自分の触った物が、数ミリ違う事に気づいた。恐らくは清掃員を装い、部屋に侵入してきたのだろうが、それに気づく事が出来なかった、冷静さを失っていた自分を綾乃は責めた。

「わたくしも、華月様も獣にやられる程弱くはございません。」綾乃は言う。

「良いのですか?獣でなく、鬼かも知れませんよ?」右京は言うと、綾乃はすぐさま電話を切り、部屋を出る。

「また、いつでもご連絡をお待ちしておりますよ。」右京は切れた電話に話かけ笑った。

(そうでした。弥生の鬼がいた事をすっかり忘れておりました。盗聴器も、部屋の確認も、これはわたしのミス。しっかりしなきゃ!華月様!どうかご無事で。)


鴨川の河川敷に来た華月は、横になりウトウトと昼寝をしていた。川のせせらぎが何とも心地良く、草の香りは華月をリラックスさせた。そんな静寂を破ったのは綾乃の声だった。

「華月様!」綾乃は華月の姿を確認すると、駆け寄り華月を抱きしめる。

「?」華月は何が起こったのかわからない。

「ご無事でございましたか。」綾乃は華月を見る。

「無事も何も、昼寝をしていただけだよ。」華月は笑いながら言う。

「良かった...。」綾乃は安堵する。

「何があったの?まぁ、座りなよ。」華月は微笑みながら、綾乃に横に座る様促した。綾乃は華月の横に座る。

「右京に電話いたしまして...」綾乃は経緯を華月に話した。

「盗聴器か...。いつからあったんだろう?」華月は独り言の様に言う。

「昨夜まではありませんでした。確認済です。」綾乃は言う。

「まぁ、聞きたいヤツには聞かせておけばいい。」華月は笑う。

「わたくしの確認ミスです。申し訳ございません。」綾乃は華月に謝る。

「綾乃さんのせいじゃないって。それより、右京の指示はわかりましたか?」華月は綾乃に聞く。

「はい。西の地に点在する花屋、花農家に如月を名乗る者に華を売るなと。売ったら家族諸共その地で暮らせなくすると。それから、宅配業者にも、華月様、わたくし宛に荷物が届かない様、指示を出している模様でございます。」綾乃は言う。

「ありがとうございます。短時間で良く調べてくれました。」華月は笑顔で綾乃に言う。

「わたくしがマリア様のお母様の店に直接取りに参ります。ですが、わたくしがいない間に華月様の身に危険が迫らないかが心配です。」綾乃は言う。

「あ、大丈夫です。実はもう華の件は解決しましたので。」華月は綾乃に言う。

「えっ?」綾乃は華月を見る。

「品評会で使う華の心配は無くなりました。」華月は笑顔で言う。

「本当でございますか?」綾乃は華月に聞く。

「右京は品評会で使う華も自分で用意しろって言ってましたね?」華月は綾乃に聞く。

「そうでございます。」綾乃は頷く。

「だから、自分で手配しました。」華月は綾乃に言う。

「どうやって?」綾乃は華月に聞く。華月は笑うと、

「品評会まで秘密です。楽しみにしていて下さい。」華月は笑った。

「はい。」綾乃は腑に落ちなかったが、華月の笑みを見てそれ以上考える事は止めた。

「お腹空きません?」華月は綾乃に言う。時刻は13時を回っていた。

「そうでございますね。」綾乃も空腹を覚えた。

「すいません綾乃さん、俺、ガッツリいきたいです。」華月は綾乃に言う。

「まぁ!華月様ったら...。」綾乃は華月を流し目で見た後、恥ずかしがる素振りを見せる。

「そ、そういう訳じゃなくて!飯を。」華月は慌てて否定する。

「夜の為に栄養をしっかり摂って下さいませ。」綾乃は恥じらいながら笑う素振りを見せる。ようやくいつもの綾乃に戻った気がして、華月は微笑む。

「中華にでもしますか?」華月は言う。

「そうでございますね。参りましょう♪」綾乃は華月の腕を取り歩き出した。







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