第180話 改修外輪船、航行テスト
王子様からOK出たので、外輪船を低速で推進しながら湾内を進み、舵は魔法で何進行方向変えた。
ちなみに、推進器操作担当はヘンドリックが買って出た。
と言っても、推進レバーに魔力球仕込んだから、レバー操作だけなんだけどね。
前回と違い今回は湾内を単独で低速で進む。
王子様、湾内も単独で航行できる外輪船を、他国の船にも見せつけるみたい。
数か月後の国際会議での魔道具船発表への、実績づくりだそうです。
例の国にも性能の一部はバレちゃうけど、どうせ発表しちゃうんだから見せてもいいよね。
推進用魔道具の秘密さえ守れれば、性能は見せつけるべきかも。
まあ、万が一魔道具の構造ばれても、多分この効率の魔法陣は簡単には真似できないだろうし、ミスリル合金も解析は難しいはずだから。
ゆるゆると湾内を移動して、やっと湾外のテスト航行エリアに到着。
だって、街主様が『湾内は早歩き以上のスピード出すな』って言うんだもん。
おかげで推進レバーは目盛り一しか試せなかったよ。
「よしヘンドリック、推進レバー二から徐々に上げて行って!」
「了解♪ 推進レバー二へ!」
伝声管に向かって声掛けたら、実に楽しそうなヘンドリックの声が返ってきた。
やがて徐々に上がっていく船足。
おお、風が気持ちいいぞ。
「推進レバー、七!」
「一旦七で固定!」
ヘンドリックだけじゃなく、私もちょっと楽しくなってきた。
ノーラとカレンは、海面をのぞき込んでいます。
初航海が気になるのは分かるけど、落ちないでね。
まあ、飛べるんだから不安は無いけど。
よし、体感だけど、速さは前回改修したのと同じくらいになったかな。
「推進レバー八へ!」
「了解!」
また一段上がる船足。
「九へ!」
「了解!」
おお、速いぞ。
だけど外輪が水面を掻く音に混じって、少しだけギギって音がしてる。これ以上は止めた方がいいね。
「推進レバー七に戻して!」
「え、十は!?」
「外輪から異音が出だしてるから、十は止めた方がいいみたい」
「く、仕方ない、七に戻しました」
「王子様、試運転は上々なので、ドックに戻って次の作業に入っていいですか?」
「ああ、それでよい」
殿下の許可も出たので、湾の入り口まで推進レバー七で進み、
湾に入る前に急制動。
この動きは魔道具じゃなくて私の魔法だからね。
王子様と街主様が船倉に推進器操作見に行っちゃったんで、外が見えなきゃ時間短縮してもいいだろうと、ちょっとだけ魔法併用しました。
「ヒナタ! 先ほどの急激な減速は何だ!?」
王子様が船倉から駆け上がって来た。
「あ、減速地点を見誤ってたみたいで、入港時の速度が速そうだったので、魔法で減速しました」
「そ、そうか。…確かに船乗りがおらねば、減速のタイミングも分からんな」
「すいません。失敗しました」
「いや、事故にならなければ良い」
リーナ、白い目でこっち見ないで。
そうだった。リーナは多分魔道機械船に乗ったことあるだろうから、さっきの進入速度が速すぎなのに気がついちゃったか。
く、大人組はみんな船倉だから大丈夫だろうと思ったのに、思わぬ伏兵がいたよ。
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