第121話 新砦づくり

朝来た。

雨降っとる。

私は魔法あるから濡れないし、工事も全部魔法だから、今日も砦建築に行くけどね。


身支度整えて朝食食べて、お弁当作り。

てか、お弁当のおかずの残りが朝食メニューなんだけどね。

卵焼き、タコさんソーセージ(赤くない)、トマトサラダ、俵おにぎり。

朝昼同じメニューになるけど、卵好きだから全然大丈夫。

さて、裏庭の隅にで眠ってる仮設トイレ持って、現場行こう。


はい、現場のヒナタです。

冗談言ってないで、さっさと作業始めよう。

昨日の整地でむき出しになった岩肌、あちこちに水たまりができてます。

……これ、丁度いいな。水たまりの無いところ削ったら、うまいこと水平取れるな。


あちこち削って、一面薄い水たまりになりました。

これで水平になった…はず。


次は寸法測って土台の形を地面に刻むから、今度は水が邪魔だな。

集めて水球にして、川にポイしました。


今回作るのは、台北の西門紅楼みたいな砦。

大きさは…何倍になるか分かんない。

幅200mの八角形で三階建て。八角形の中庭があります。

というか、城壁を八角形にして、城壁自体を部屋化するつもり。

屋上は広い回廊の予定です。


土台部分の目印刻んだら、次は中庭になる部分の端に下り階段掘ります。

そう、おうちと同じで、石材現場調達です。ちゃんと計測しながら八角形の螺旋階段づくり。

距離と角度測りながらだから結構面倒だな。


地下一階の床の高さまで下りたら、今度は八角形の部屋作り。

石材切り出しつつ計りながらの部屋作り。

上の中庭(予定)とシンクロさせなきゃいけないから、これまた結構めんどくさい。


だけど1㎥サイズのブロックでゴロゴロ掘り出せるから、寸法と角度にさえ気をつければ、作業自体は早い。

おうち建てる時にこの能力がほしかった。


地下一階のくり抜き終わったら、次は外に山積みになった石材を、基礎として八角形のドーナツ型にベタ積み。

これは刻んだ線に沿って積んでくだけだから楽だね。

石材十個くらい一気に移動していけるようになったから、ちょっと麻雀牌積んでる気分。


基礎部が積み終わったので、今度は外壁と内壁を二重の八角形になるように積見上げていきます。

ここが一階の床下の配管スペースになる予定。


外壁と内壁できたら、中に一階の床を支えるアーチ柱を立てていきます。

数が多いから、ちょっと伏見稲荷さんの鳥居っぽいな。

でも、一階は幅の広い石床のつもりだから、中間にも支え作っとかないと床が落ちる。


アーチ柱立て終わったら、今度は配管作り。

一階は厨房やお風呂、トイレや洗面台があるから、配管多いんだよね。

そんな配管の行き先は、中庭下の地下室。

ここでおうちと同じように下水処理する予定です。


おっと、もうお昼すぎてる。

お弁当食べよう。


だけど五時間くらいでここまでできちゃうなんて、レベルアップの恩恵すごいな。

全部魔法で工事してるのに、まだ魔力半分も減ってないぞ。


お弁当モグモグしながら現場見てたら、中庭が池になりかけてた。

そうだよね。雨水の排水路要るよね。次に作ろう。


あ、川の水嵩増えてる。

ふーん、これだけ降ると、あそこまで水面上がるのか。

でも、ベタ基礎50cmと床下1.5mで計2m立ち上げてあるから、かなりの豪雨でも大丈夫でしょ。


排水路から中庭に水が逆流するといけないから、中庭は土で嵩増ししとくか。

気付いてよかった。雨に感謝だね。

引っ剥がした土が山盛りあるから、一階の床の高さ近くまで中庭に詰めておこう。


食休みしてから午後も建築作業員。

中庭嵩上げ、雨水排水路、一階の石床、一階の壁と部屋用の仕切り壁までできました。

夕方までに帰らないと視界が悪くて迷子になりそうだから、今日はここまでだね。


おうちに帰ったら、庭の枯山水が枯れてなかった。

ここって土台にした岩山の頂上部がすり鉢状になってるから、水の逃げ場がないんだよね。

おうちでも雨水排水路づくりしました。

まさか地上300mで水害が発生するとは思わなかったよ。




新砦建築作業七日目。

夕方おうちに帰ってきたら、玄関のロートアイアンにメモが挟んであった。

うち、ポスト無いから仕方ないよね。

あっても誰も使わないから、作る意味無いし。


メモはガイからだった。

ガイもレベル8になったから、ぎりぎりうちとの往復できるんだね。

…帰りの途中で魔力切れて、森に不時着とかしてないよね?


メモには、一度砦に来て欲しいって書いてあった。

最近新砦の建設に熱中してたから、全然砦や監視塔に行ってなかった。

ひょっとしたら心配掛けちゃったかな?


新砦も鉄が無いから面格子や檻罠作れないし、私もそろそろ新鮮野菜が恋しい。

明日は砦に行ってみよう。

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