第110話 おうちでわいわい1/2
おうち到着。
アクシデントはあったけど、今日の討伐ノルマは終了してるから、あとはゆっくりくつろげるよ。
前回ガイが来た時はまだ工事途中だったけど、私のおうちちゃん、もう完成してるもん。
おうち完成後初のお客様、しかも砦でノーラのレベル上げした時のメンバーだから友達同士のお泊り会みたいなんだよね。
「前回来てからそう時間は立ってねえのに、もう庭までできてやがる」
「やがるって…。頑張って作ったのに」
「早すぎるわ! 整地して土とか入れて、そのあと花や木を植えるんだ。普通何人も職人が入っても一か月以上かかるだろ。しかも見たこと無い作りで、妙に風情があるし」
「そこは頑張ったって褒めるところでしょ。森の中の材料だけで作るの大変だったんだから」
「森の中だけって…。この模様書かれた細かくて白い砂利なんて、森で見たことねえぞ」
「地面深くまで穴掘って、白い岩探しだして、掘り出して砕いた」
「そこまでするか。もうヒナタの根性にびっくりだわ」
「大きい庭もすごいけど、こっちの小さい庭なんて、なんか小人とか出てきそうな雰囲気。きれい? かわいい? 幻想的? なんか表現しづらいけど、すごく素敵だわ」
「わーい、頑張って作った甲斐があったよ。ありがとうカレン」
「あー、なんか悔しい。魔素感知で形は分かるけど、私も見てみたかった~」
「あ、ごめんなさいノーラ。私、無神経でした」
「そんなことないよ。カレンが話してくれたから、なんとなくだけど感じは掴めたから」
「俺もすまん。かなり見事な庭なんで、つい突っ込んじまった」
「だから謝んなくていいって。ガイがヒナタに会わせてくれたから、私は触れなくても形や景色を感じられるようになったんだよ。それに人の表情が分かるようになって、感動したもん」
「そうか。ならよかった」
「うん、ありがとう。でも、この場所って地面が高く伸びてその上に家が建ってるんでしょ。こんなの初めて」
「俺も初めて見た時、目を疑ったぞ。こんな場所に家建てるなんて、ヒナタ以外無理だ」
「え、もうノーラでも建てられると思うよ」
「「「は?」」」
「だってノーラはもうレベル12じゃん。魔力制御もうまいから石造りの家くらい建てられるよ」
「私、ほんとに家を建てられるの?」
「だってレベル7のガイだって石を切り出して接着できるんだよ。レベル12のノーラならできちゃうって。あ、明日にはレベル15か。もう余裕じゃん」
「……ねえガイ、私ってほんとにできそう?」
「俺より八つもレベルが上なら、間違いなくできるな。俺が石材二十個くらい切り出してくっつけられるんだ。レベル八つも上だと、いくつできるんだ?」
「魔力制御の効率もあるから、多分八千個くらいできるんじゃない?」
「は、八千…。しかもそれ、一回魔力が空になるだけで翌日また八千じゃねえか! 一週間で砦が建つわ!!」
「いや、中身作る方が時間かかるから。さすがに一か月くらいはかかるんじゃない?」
「…森の砦な、できるのに二年以上かかったんだぞ。毎日二十人くらいで」
「私、大人になったら自分で家建てる!」
「そうだね。今から色々模型作って、好きな家の形や間取り考えとくのもいいね。私のおうち、考えなしに建てちゃったから間取り失敗したもん」
「そうだな。ダンスホールや客用スペースの方が大きい家なんて、個人の家じゃねえな」
「……。ねえ、そろそろおうち入ってお昼の支度始めようよ」
「あからさまに話そらしやがった。でもまあそうするか、腹減ってきたし」
結局、昼食の支度始めるまでに一時間ほど掛かった。
おうち内覧会、質問攻めだったよ。
やっとのことで、プライベートエリアのダイニングキッチンで調理開始。
ゲストエリアの厨房と食堂使おうと思ったのに、みんなから落ち着かないとダメ出しされた。
こじんまりとした部屋の方が落ち着くって言われたけど、約二名は貴族だろうに。
ガイはダイニングテーブルでコーヒー飲んでるけど、女子三名はお昼の支度。
お客様なのに、当然のように手伝ってくれてる。
てか、カレンがメインの調理担当。私より調理スキル高い気がする。
「このこんろ? ってすごいわね。火起こし時間不要で煙も出ないなんて、料理人が泣いて喜ぶわよ」
「えへへ。頑張って作った甲斐があるね。欲しかったらノーラに作ってもらったら?」
「え? 私、作れるの?」
「多分できるよ。食後に作ってみる?」
「やりたい!」
「ノーラ。作るのはいいけど、魔道具作れることはみんなには秘密にしとけよ」
「あぁそうか。バレたら誘拐されるよね」
「誘拐防止にレベル上げてんだが、誘拐の可能性自体減らした方がいいからな」
「なんかごめん。作るの止めとく?」
「やだ、教えて。私って、変質魔素感知と魔核浄化で重要人物扱いされてるんだから今更だよ。みんなのためになる物作れるようになりたい」
「あれ? いつの間に魔核の浄化までできるようになったの?」
「浄化用魔法陣の魔素の流れ真似たらできたの。ねえヒナタ、私は私の意思でいろんなこと頑張ってるの。ヒナタから教えてもらったことは、私にとってすごくありがたいことなんだよ。だから謝ったりしないで」
「あ、うん、分かった。じゃあ食後は魔法陣作成ね」
「うん、ありがとう」
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