星の歌い手
彼はいつも星を見上げていた。星座を辿ったり、流れ星を探したり、遥か彼方の銀河を眺めたりと、星と共に過ごす時間が彼にとっての至福のひと時だった。
ある夜、彼は星を見上げながら歌を歌い始めた。最初は小さく、ほんのささやき程度だったが、次第に声が大きくなり、音程も高くなっていった。
すると、星たちは彼の歌声に反応し始めた。彼の周りに輝く星々が、リズムに合わせて揺れ動き、彼の歌声に調和するように輝きを増していく。
彼は気付くと、星と一緒に踊っていた。彼の歌声が星たちを喜ばせているのだと、彼は確信した。
以来、彼は毎晩星を見上げて歌を歌い、星たちと共に踊ることが習慣となった。ある晩、彼が歌い始めたとき、星たちはいつもと違って反応しなかった。
彼は不安になり、慌てて歌い続けた。しかし、星たちはそのままで、一向に反応しなかった。
彼は焦りを感じながらも、あきらめることができなかった。そんな彼に、ある星が囁いた。
「星たちはあなたの歌声を聞いています。しかし、今夜は私たちの力では、あなたを輝かせることはできないのです。」
彼は星の言葉を聞き、不思議な気持ちになった。それでも、彼は星たちとの踊りを諦めることはできなかった。
彼は夜が明けるまで星を見上げて歌い続けた。星たちが彼に応えなくても、彼は歌を歌い続けることで自分自身を輝かせることができたのだ。
それ以来、彼は自分自身を輝かせる力を持った「星の歌い手」として、星と共に過ごす日々を続けた。
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