第2話 ここどこだー?

気が付いたら私は森の中に居ましたー。割とハードモードだねー。

そういえばこの世界がどんな世界か聞いてなかったけど、まあ異世界なんてファンタジー(笑)みたいなかんじでしょ、どこも(てきとう)。

ちなみに今のわたしの恰好は…なんだろう、ファンタジーの貴族とまではいかないけど、金持ってる商人の娘が着る服みたいなやつだねー。

そうだ、起源まほー?があるんだったね…なら。

「鑑定~」

そう私が呟くと、目の前に光るウインドウが出現する、あとなんか書いてある、なになに~?

『不壊の上等な服…自動洗浄機能が付いた上等な服、破壊されない、ある程度の衝撃を吸収する』

おお、ほんとに鑑定できたよ、すごい。というかこの服はもっとすごいねー。

洗わなくていいらしいけど、なんか心理的にいやだねー。

さっさと人里を見つけようかな。

「怯むな!おしかえせぇえええ!」

お?

なんか向こうから人の声が。

よく耳を澄ましてみると、なんか大勢の人が大声を上げているのが聞こえてくる。あとついでになにかがぶつかり合う音も。

なんだろうねー、行ってみよう。

私は音のする方に向かう、大体1km先くらいかなー。









数分歩いて到着した場所では

「クソっこいつらきりがねぇ」

「やべえ、このままじゃ押し切られるぞ!」

「ギャ、ギャ!」

なんか、大勢の人と、人型のなにかが争っていた。

人型のなにか…緑色の肌、巨大な牙、醜悪な顔。

あれだねー。多分いわゆるゴブリンってやつだね。

そうだねーこれは大方、冒険者集団VSゴブリンの群れってところかな?

じゃあ私のやることは一つ!つまり人助け!

ゴブリンって魔物なんでしょ多分、なら敵だよね…敵なら…

殺しちゃっても、正当防衛だ~。

「うーんでも武器がないとなー」

…む、そうだ!武器がないなら作ればいい。

起源魔法ってなんでもできるんでしょー。

試しに欲しい武器を想像しながら魔法が発動することを願う。

たしか、あのお姉さんは私をモデル「フェンリル」の獣神族らしい、なら北欧神話の武器がいいよね。

北欧神話の武器、うん、ではではー。

「こい、ミョルニル」

ヨルムンガンドと相打ちになったトールの武器、さてさて。


―バチンッ!


放電音とともにいつの間にか私の手に鉄でできたハンマーが握られていた。

すごい、このハンマー、常に放電しているよー。

よし、武器は揃ったね、じゃあ、いこう。

「とつげきー」

私は思いっきりジャンプしてゴブリンの群れの中心の上空に到達すると。

「てりゃー」

そのまミョルニルを振り下ろしながら落下する。

一網打尽だー。







俺はジャッキー、Cランク冒険者だ。

今、俺たち辺境都市ラルトに所属する冒険者のパーティー連合はピンチに陥っていた。

俺たちのパーティー連合、総勢30人は最近発生したゴブリンの群れの駆除の依頼を請け負っていた。

…ゴブリンの群れ程度に30人…本来は余裕な依頼のはずだった。

だが、まさかその群れのゴブリンがすべて上位種のホブゴブリンに進化しているなんて予想外だろ!

クソっ、ギルドめ、雑な仕事しやがって。

「クソっ、こいつらきりがねぇ」

「やべえ、このままじゃ押し切られるぞ!」

不味いな、このままじゃ全滅だ!

俺がそう思った時…森からなにかが飛び出してきた。

「あ?なんだあれ…獣人…か?」

森から飛び出してきたのは手に小さなハンマーを持った獣人の少女であった。

なぜか軽やかにホブゴブリンの群れの中央に向けて放物線を描いて飛翔している。

「なんだ!?」

「獣人か?なぜ!?」

俺たちが口々に疑問の声を発した時、獣人の少女は地面の着地する、その手のハンマーを振り下ろしながら。

そして。


―ズバンッ!!!


枝分かれした閃光が、雷のように、着地した獣人の少女を中心に走った。

ホブゴブリンたちはその閃光に貫かれ。

「「「「ギャアアアアアアッ!」」」」

断末魔を上げ、絶命した…一匹残らず。

「な、な…なんだってんだ!」

斃れ伏したホブゴブリン達の中央に立つ獣人の少女。

獣人の少女は銀髪に、虹色の瞳をした、美しい少女。

ホブゴブリンの死骸に囲まれている中で堂々としているその姿は、神秘的ですらあった。

「獣…神…族…?」

隣にいた獣人の冒険者がそう呟く、獣神族?

と、その獣人の少女がこちらを向く。

そして…笑顔で言う。

「人助けかんりょー」

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