第38話 名前のない怪物
名前のない怪物は、確実に存在する。
そいつは、匿名で突然訪ねてきて、自分の存在をズタズタに引き裂く。
U.N.オーエン。
いきなり糾弾し出す、謎の声。
声は時として男となり、女となり、こちらの首をゆるやかにしめおとし、生かさず殺さずの状態で、なぶり殺しにする、奴らは常に退屈していて、奴らは常にかわいていて、奴らは常にうえていて、こちらが隙を見せると、ひたひたと、匿名で、知名度がないことを良いことに、気がついたら、首を落とされている。
自分も、彼らと関わっているうちに、怪物へと変わってしまったらしい。
この身体に流れる血は、コールドブラッド、血を凍らせなければ、呼吸すらゆるされなかった。
この身体に流れる空気は、酸素が主で、常に私の身体を焼いていく。
この身体にある細胞は、細胞壁があり、やがて、私は植物へと姿を変えた。
人の心を持てば、つらくなる。
植物であれば、人の心を持たないからだ。
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