第11話
ヴェローナのロミオってもんだけど、
家出たら、みんな、白い布をつけててさ。
今日って仮面舞踏会なの?
そうつぶやこうとして、やめた。
SNSで書いたところで、面白がられるか、一瞬で忘れられるか、埋もれるか、そのどれかだ。
私は、こう聞いた。
シェイクスピア全訳?
やれるもんなら、やってみな。
あれから、23年経った。
BL漫画を、手に取る。
一ノ瀬ゆま先生の、
「神さまなんか信じない
僕らのエデン」の下巻、
Episode 10の、電話帳から、彼女の名前を探して、電話する場面。
あぁ、もし、普通に生きていれば、表舞台に立たなければ、普通に、告白されて、こう言った、彼女に別れを告げて、別の男と結ばれたり、恋愛で、たとえば、誰かを好きになったことをネタに、笑われたり、からかわれたりなんかしない。
ただ、神様として生きているだけで、信者、推してくる人たちは、皆信者だ。
俳優とあって、そう、こちらは生身の人間だと言うのに、彼らが語る私自身は、現実に何かいないぐらい、清く正しく美しい。
俺が普段何考えてるか知ってるか?
普段は何をおかずに見ているのか知っているんだろうか?
にもかかわらず、彼らは、清廉潔白さを、俺らに求める。
世の中に、どれだけ、全く以て、一生、健常な体を持っているにもかかわらず、自慰をしないで、誰かに欲情を持たずに、誰かを性的に組み敷くと言う妄想することなく、清く正しく生きていきていられる人間がどれだけいる。
神父や牧師だって、キリスト教にとってタブーとされているが、あちこちで少年を抱いて、女を抱いて、ときには、女からストーカー被害にあって、そういうふうに、性欲をたって暮らしてはいても、性欲なしに生きることなんて不可能なのである。
そういったことに興味が向かない人間もいると言う。
子供しか愛せないという人もいる。
同性しか愛せない人もいる。
首から下が動かなくて、先天的に、性的なことを、考える事はあっても、実際に肉体的に、喜びを感じることが難しい人はいる。
にもかかわらず。
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