第2話

いつの間にか、寝入ってしまったようだ。


14歳の頃から、うまく眠れない。


ファンの女と、寝ている。


毎週のように、毎日のように、繰り返す言葉。


そのうち、空き教室に逃げ込んで、「貞子」を読むようになった。


誰もいない、ひとりの教室。

ひとりだけの、安全な場所。


大人になっても、乗り物の中でしか、ゆっくり眠れない。


肩掛けカバンを右肩から斜めにかけ、帽子を目深にかぶり、気配を消す。


ひとりだけで。


生きていくと。


決めたその日から。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る