ころしてやりたい(副題:俺と自称メンヘラ女がゆるだら微イチャでくうねるあそぶ)

秋島歪理

ころしてやりたい

「ころしてやりたい」

 と真希が唐突に言った。

「ほう」

 と僕は言った。

「それは物騒」

「ころしてやりたい」

 と真希は繰り返した。

 このレジャーホテルに居続けして何日目かの、昼か夜である。

 このテの部屋の造りとして窓は小さいし、カーテン閉めっぱなしなので昼夜がよく分からない。とくに暗くもない明るくもない電気を消さず眠ったり、やる気のない愛撫をしたりしている。

「ちなみにそれは、ころしてやりたい、なのか?」

「は?」

「だって、俺とお前しかいないだろ」

「そうだね」

「お前がころす相手って必然、俺になるな」

「そうだけど?」

 真希は人差し指でシーツをちまちま引っ掻きだす。イライラしだしたな。

「だから、ころすの方は『殺人さつじん』の『さつ』の殺すだと思うんだが」

 俺は宙に指で字を描きながら言う。

「他に何があんの」

「ひょっとすると、やりたいの『や』はカタカナの『ヤ』じゃないだろうな」

「バカ」

「だとするとほら、こう」

「死ねバカ」

「殺し方にもよるかもだが、俺が役に立つかわかんないだろ」

「マジで死ね」

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