第2話 ジョブカード
緩やかな下り坂の先にはやや広めの空間があった。
不思議と明るい洞窟の中。
明らかにダンジョンの部屋として作られている場所。
そこには一体のスケルトンがあぐらをかいており、動こうとともしない。
不意打ちで行けるだろうか。
実戦経験自体が初めてなせいで相手の強さが測れない。
一応、注視していると相手の頭の上に【スケルトン】という表記が浮かび上がって名称はわかったのだが。
これ、鑑定とかのスキルがあってレベルを上げると相手の能力がわかる、とかそういうシステムだったりするのだろうか?
簡素な情報からそういうメタ読みも可能だが、情報量が増えるわけでもなく。
突撃しかない、か。
ええい突っ込むぞ!
喰らえ《火遁・弾》!
入り口から踏み込むと同時、広間から奥へつながる通路の前に座り込んだスケルトンに向かって火の玉が飛ぶ。
野球ボールほどの大きさの火の玉はスケルトンの頭に当たると同時に爆発を起こし、その頭蓋を半分吹き飛ばした。
よし、手応えあり。
視覚が欠けたようで、頭をやや大げさにこちらへと向けてくる。
うお、こわ。
独特の迫力がある。
残った眼窩に仄暗い光が灯っていて、それがこちらを見ているように感じさせる。
距離を詰め、欠けた方から刀を振り下ろす。
その一撃はスケルトンの肩に直撃し、左腕がぽろっと外れた。
だが大ぶりな攻撃だったためにそれは隙となってしまった。
スケルトンは右腕を横振りに振り回したのが横腹に衝撃を与え……。
あれ、痛くない。
なにかぶつかった感覚はあるが痛みは来ない。
開かれたままついてきたウインドウの表示上のHPが減っている。
これは……HPはダメージを代替する障壁として機能する、ということだろうか。
なら、恐れることはない。
痛みもないなら動きが鈍ることもない。
うわっしゃぁー!
力技で刀をスケルトンの頭部に叩きつける。
刀の使い方なんてわからないし、ステータスウインドウから確認した限りなまくら刀だ。
雑に使ってしまっていいし、雑にしか使えない。
三度、叩きつけたところスケルトンの首が脱落。
カランという音を立てて落ちると同時に、スケルトンの体は光の粒子になって消えた。
その場に残されたのは1枚のカード。
【スケルトン】「モンスター:装備者にスケルトンを召喚・使役する力を与える」と書かれていた。
ほう……ほう?
手下を召喚できる、と。
これもジョブに装備して使うカードのようで、早速試してみることにした。
ウインドウからCAP内にカードを入れて……と。
するっとウインドウに吸い込まれるスケルトンのカード。
このウインドウ、モノリスじゃなくてジョブカードの方の機能っぽいな。
消費するCAPが……20。
思っていたより消費が結構多いことに驚きながら、スケルトンを呼び出す。
地面からずもももも……と暗い煙とともに現れたスケルトンは……さっき倒したのと同じ見た目だった。
大きさとかも多分同じだ。
特に武器も持っていないあたり、雑兵にしかならないだろう。
だが戦力が増えることはいいことだ。
よーし、特に宝箱なんかも見当たらないし次の部屋も行ってみようか。
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