いきなり出現ダンジョンカード どこからでもダンジョンに入れるカードでダンジョンを探索しよう!

内藤悠月

第1話 ダンジョンカード

 これはなんだろうな。


 朝起きたら枕元に落ちていた一枚のカード。


 洞窟のような絵柄が書き込まれたカードで、手触りはプラスチックのような質感をしている。


 そして、異常に硬い。

 指で弾いてみてもしならず、それを不思議に思って曲げようとしてみたが鋼の棒でも相手にしているようだ。


 トレーディングカードのような体裁で描かれた絵には名前欄と効果枠が存在し……それぞれに。

 【初心者の洞窟】と「ダンジョン:壁にさしこむことで扉が開く」と書かれていた。


 いやーなんだろうなこれ。

 誰かのいたずらかなにかか。


 だから騙されたと思って、壁にカードを突き刺した。


 カードは豆腐にでも刺さるかのように、壁に沈み込んでいき。

 壁が波打ち、扉が浮かび上がる。

 作りの粗い、木製の扉だった。


 中世の廃坑なんかにありそうな扉だ。


 その隙間ボロボロの扉を開けると、その先には洞窟が広がっている。


「わぁ……ダンジョン……」


 まさか本当だとは思わなかったが、ダンジョンが広がっているのは事実である。


 さて、どうするか。

 そう思って部屋にあった棒を武器に踏み込んだ。


 背後で扉が勝手に閉まる音とともに、目の前にモノリスが出現する。


「挑むものよ。その才を示せ」


 モノリスは低い声でそう告げた。

 それと同時に、モノリスの表面に1枚のカードが出現する。


 そのカードにはダンジョンのカードと同じ体裁で【ニンジャ】「ジョブ:使用者にニンジャの力を与える」と書かれていた。


 ふむ?

 これを使ってダンジョンをクリアしろ、ってことか?


 カードを手に取るとその使い方が頭に流れ込む。

 カードを頭にかざすとジョブが適応され……そして身体能力が大幅に強化される、と。


 頭にかざすと、カードが光になって体に吸い込まれていく。

 すると……自分の姿が忍び装束のようなものに変化し、体の底から力が湧いてくるのを感じた。


 ジョブの力を得ると同時にモノリスの表面にウインドウのようなものが浮かび上がる。


 【初心者の洞窟】

 名前:タジマ・ショウ

 ジョブ:【ニンジャ】

 HP生命力:346/346

 MP魔力:122/122

 SP技力:183/183

 STR筋力:24

 END頑丈さ:19

 AGI俊敏性:38

 DEX器用さ:29

 LUC幸運;11

 CAPキャパシティ:0/100

  └【シノビのクナイ】(消費CAP:0)

  └【シノビ刀】(消費CAP:0)

  └【シノビ装束】(消費CAP:0)

 スキル:《火遁・弾》Lv1

     《水遁・弾》Lv1


 おー。

 ステータス画面だ。

 しかもタブレットみたいに操作できるようだ。

 スキル詳細も開ける。

 今持っているスキルはどちらも対応した属性の矢を飛ばすようだが。


 武器は……持ってきた棒よりもジョブに付属されているシノビ刀のほうがマシそうだ。

 ジョブに付属……というかCAP内の装備は好きな時に出し入れできる模様。

 ジョブのカードの中に入っているっぽい。


 初期装備なのでそこまで強くはないが、棒より良いだろ棒より。


 思ったよりもサービスがいいなこのダンジョン。

 着の身着のままで挑むハメになると思ってたからだいぶいい。


 モノリスに出たウインドウの情報から、このダンジョンは3部屋構成らしいし、戦えるだけの力も手に入った。

 潜ってみるかー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る