俺の家

LAYLA

第1話 俺の家は本屋

俺の家は本屋だ。

俺の家の本屋は古本も買い取り売っている。

俺は新しい本の匂いも好きだが、古い本の独特の匂いも好きで、子供の頃は本屋に入ると、お気に入りの匂いを探して、本を沢山開いて遊んでいた。


ある日、学校で出来た友達が野球に誘ってくれた、その次はサッカー、俺はどんどん外で遊ぶ事が増えて、本屋に行く頻度も読む頻度も減った。


俺が中学に入ると、両親は本屋の経営が上手くいかなくなった事がきっかけで、喧嘩をするようになった。俺は2人の喧嘩している声が大嫌いだった。なるべく家にいたくなくて、友達の家に遅くまでいる事が増えた。

しばらくして、両親は離婚。俺は父親に引き取られる事になった。

父親は離婚しても本屋の経営を続け、母親がいなくなった事が悲しくて寂しかった俺にはお構いなしだった。

父親の頭の中には本屋の事しかなかった、俺は本屋が大嫌いになった。


俺が高校生になると、本屋はついに潰れた。「俺を放っておいて全力注いだのにこの様かよ…。情けねぇな。」俺は父親の努力も何もかもどうでも良いと思った。

本屋取り壊しの日、俺は何の愛着も湧かない本屋の最期を見る気にもならず、わざと予定を作ったた。帰り道、何となく本屋があった通りに行った。

そこには何もなかった…。嫌いだった場所だが、なぜか心が締め付けられた。


家に帰ると、部屋には一冊の本があった。

「親父!何この本?」

「あぁ、それか!お前が小さい時店で見つけた本だよ。ずっと肌身離さず持ち歩いてただろう?」

「父さん!俺本が大好き、将来は俺がこの本屋継ぐんだ!」俺は子供の頃の記憶が蘇った。

「ごめんな、お前が継いでくれると言った本屋潰しちまって…。」

父親の涙を初めて見た。

その時俺は初めて父親の気持ちに気付いた。俺を蔑ろにしたんじゃなくて、俺に残すためにあんなに頑張ってくれていたんだ。

俺も涙が出てきて、父親と抱き合って泣いた。

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俺の家 LAYLA @layla_layla

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