第10話


奥方様の夜の務めは免れたけど、ふみはなるべく旦那様に近づかす、旦那様に見られたら、そそと離れて女中やキヨに近づいて、旦那様から逃れ隠れる…。


奥方様の気持ちも判る…おらが旦那様から逃げたらいい…。


ふみは叩かれ殴られたのは、おらがやはり禁忌の子じゃからと、おらが我慢したら良いと自分に諭した…。


ふみは数えで15歳になった…年季明けまで後1年…。


每日毎晩、疎まれ叩かれ、務めに追われる日々だった…。


そんな或日、奥方様がやっと孕んだ、子ができたと、使用人も女工達も喜んで、ふみも暫く叩かれないぞと喜びかみ締めたのも束の間で、奥方様が実家へ戻ると旦那様がまたもや、ふみに言い寄る様子…。


昼間から堂々とふみを部屋に呼び付ける…。


奥方様に申し訳ないと、拒むふみに旦那様がそれなら、幾ばかの銭をやるから身体を開け、それが出来ぬなら、井戸に落として、殺してくれよう…。


旦那様は脅しにかかる…ふみはまた、源蔵を思い出した…。


おらはやはり禁忌の子…忌み嫌いの子ならばきっと、嬲られ犯されるのは、天の罰、罰なら詮無い受け入れましょうと旦那様に身体を開いた…。


都で名のある花魁よりも、若く綺麗なふみの顔身体…やっと差し込むことが出来たぞと旦那様は有頂天…。


ふみはどうせ、おらを犯すなら、優しく突いて下さいと胸で祈り涙ぐむ…。


女房が帰って来るまでと、旦那様は毎夜毎晩ふみを呼び、抱いてふみに銭を放おる…。


そんな折に奥方様が悪阻(つわり)がひいたと一旦戻る…付き添い行ってたキヨを連れて…。


住み込み女中の告げ口で旦那様とふみの事を知り、キヨに命じてふみを呼ぶ…。


「お帰りなさいませ、奥方様…」


「私が、里へ帰っている間に、つげの櫛が折られてる、それに私のかんざしも消えた…これはお前の仕業だな」


そんなことは有ろうはず無く、ふみは違うと答えたけれど、下手人はふみしか居らぬと、キヨに命じ、手足を縛り、三日三晩責たてた…。


旦那様には、あやつは性悪盗っ人、もしや庇うつもりは無かろうなと、口出しさせず、ふみをいたぶる…。


三日三晩責た後、瀕死のふみに言い渡す…。


「お前の年季は来春だけど、盗っ人ならは、もうここには置いておけぬ、役人には差し出さないから感謝しろ」


追い出され、ふみはまた路頭に迷う…。


せめてもの救いは、旦那様に貰い溜めた多少の銭がある…。


銭を懐に、ふみは、屋敷を後にした…。


ふみはもう直、数えで16歳になる…。

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