僕のLADY
百方美人
第1話
夜は考え込んでしまう。
カーテンの隙間から月明かりがさし、薄暗い天井をぼんやりと、ただ、見つめる。
あぁ、いつからだろう、あんなに月がぼやけて見えるようになったのは。
僕は時々思い出す。
「月が綺麗ですね」
と言ってくれた彼女はもう何処にもいないのだと。
☆
ある夏の事。
僕は、定期試験の勉強を乗り越え、バイトに明け暮れる日々を過ごしていた。
週5のシフトをこなし、毎回汗だくで家に帰るのだ。
大学2年生の夏なんて、遊ぶ為にあると言っても過言では無い。本当は、友達とどこか旅行したり遊びたかった。
友達の
奮発して良い旅館も取ったらしく、「金無い〜」が最近の口癖だった。
高校からずっと一緒の
OKを貰えたらしく、彼女と何度もデートに行っている。
奢り奢られ論争が世の中をざわつかせていたが、浩平はデート代を全て出してるのだと言う。
「お支払いはどうされますか?」
「カードで。」
スマートに会計を済ませ、彼女に財布を出させないようにしているらしい。
しかし、浩平の彼女は奢られる事に抵抗があるらしく、帰り際にデート代の入った手紙をいつも渡されるのがオチ。
僕は、男が全部出さなきゃいけないのがよく分からない。でも、奢られて当たり前なんて思っている女性もいるのだから、浩平は良い彼女を捕まえたなと思った。
そして、どんな男でも彼女には良い格好したいのが男の性なんだと、僕は改めて認識した。
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