第8話 "水の聖女"ミストリア
第三王子アレンの代表挨拶も終わり、各クラスの各クラスの担任の紹介となり、会場が騒つく。SSSクラスの担任があまりに有名な女性だったからだ。
彼女は壇上に立ち語り始める。白地に金糸・銀糸・青糸で刺繍、藍玉、蒼玉が散りばめられたローブを身にまとう『
「今日のよき日に皆さんを迎え入れることができ、喜ばしく思っています。SSSクラス担任を拝命いたしました。ミストリアです」
--『
--は? "水の聖女"が担任? 没落した田舎貴族の出身で、勇者様と出会ったときに水の力に目覚めて、『
フュースはワクワクしている。郷の恩人の一人であり、母フレイアージュと同じ戦場に立ったこともある"水の聖女"ミストリアが担任だという事に。
ローラはあまりのことに驚きを隠せない。SSSクラスが別格の扱いを受けるとは聞いているが、生ける伝説とも言える勇者パーティーの一人が担任だという事に。
ミストリアは話を続ける。
「アレン殿下の志、とても心強く思います。ヘクトールの教員一同、生徒の皆さんの指導に対して労力を惜しまないでしょう」
ここでミストリアは大きく息を吸い込む。
「ただ、皆さんに申し上げておきたいのは、戦うからには勝たねばならぬこと、負けるとしても再起を図れる道を残すことです。大義に酔い、戦いの行きつく末を見失うことのないようお願いしたいと思います。以上をもって教員代表の挨拶と致します。ミストリア・ルーディン」
--お母様たちと同じことを言ってる……。この人も『
--王子様の挨拶で熱に浮かされた会場に冷静さが戻った……。これが『
フュースは母や母と共に戦場に立った者たちの言葉とミストリアの言葉を重ね合わせ、ローラはミストリアの言葉を受けた聴衆たちの様子を感じながら、それぞれ思いにふける。
「!」
フュースは微かなマナの揺らぎを感じ、前列の左端に座るアレンを見る。
--え……? 一瞬だけど黄金のマナが見えたような……。でも、黄金のマナを持つのは黄金龍アルハザード様だけのはず。それが何故……?
フュースは考えても答えが出ないので、見間違いだと思い直すことにするのだった。
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